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スタートアップを支えるテルアビブのコワーキングスペース

2014.02.06

Updated by Hitoshi Sato on February 6, 2014, 22:50 pm JST

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イスラエルはスタートアップが非常に多い。テルアビブだけで700~800社が存在しているとのことで、そのうち500~600社がテルアビブのロスチャイルドストリートに集中している。世界中からユダヤ人の移民が集まっているイスラエルでは、ここ20年くらいベンチャーキャピタルの発展もスタートアップの発展を促進している。また国家としてもスタートアップ企業の支援を積極的に行っている。この辺りについては日本でも販売された「アップル、グーグル、マイクロソフトはなぜ、イスラエル企業を欲しがるのか?」(ダン・セノール/シャウル・シンゲル著)にも詳しく書かれているので、ここでは詳細は割愛する。なお同著の原題は" Start-up Nation"であり、まさしくタイトルにスタートアップが掲げられている。

テルアビブ市では2012年から従来の図書館を有効活用するために、スタートアップ向けの「コワーキングスペース」として貸出しを始めた。スタートアップのために「プラットフォーム」として多くのスタートアップをコネクティングすることが目的で、現在12チームで約30人が利用している。

コワーキングスペースを借りる条件としては、以下である。
・2人以上のチームであること(1人では無理)。
・週に4日はコワーキングスペースを利用すること。
・1人につき約50ドル(1か月)の利用料。
・アイディアの内容はスペース貸出においては重視していない。

若者やスタートアップが多く集まっているテルアビブのロスチャイルドストリートから2分程度のところにあるため、人気がある。ラウンジやミーティングスペースもあり、他のチームとも意見交換や交流ができる。鍵を渡されるので24時間利用可能である。ロスチャイルドストリートでは多くの若者スタートアップがコーヒーショップなどに集まり、自らのビジネスプランなどについて語り合っている。

テルアビブはイスラエル国内だけでなく世界中から多くの人が集まる「眠らない町」である。その周辺で1部屋借りると350ドル(1か月)くらいかかり、さらに光熱費やら水道代、維持費などがかかることを考えると少人数のスタートアップにとっては、このようなコワーキングスペースを活用できるのは重要であろう。イスラエルではベンチャーキャピタルが発展しているとはいえ、当然ながら全てのスタートアップがその恩恵を受けられることはない。そしてテルアビブの物価は東京よりも高い。

テルアビブ市は現在、コワーキングスペースを月50ドル(1人)で提供しているが、最近ではGoogleなどが無料でコワーキングスペースの提供を始めたそうだ。スタートアップ支援のための競争も激しくなってきている。イスラエルでは毎日のようにスタートアップが登場している。彼らは何回失敗しても、また挑戦してくる。そしてイスラエル社会はそのようなスタートアップや若者に対して非常に寛容であり、彼らを支援するための周辺環境も整備されている。

彼らを支援する周辺環境での競争も激しくなってきており、今後もますます充実してくるであろう。そしてそれらがイスラエルでのスタートアップをさらに活性化していくだろう。

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もともとはスタートアップ向けのネットワーキングのイベントなどのために開始したのだが、最近ではそのようなイベントはテルアビブのあらゆるところで行われている。

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図書館は今でも運営しており、一般の市民も図書館には通っている。

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自らのビジネスモデルについて語る8thSec.comのEyal Y.Dekel氏。いろいろなフェーズのスタートアップが入居している。

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入居してまだ日の浅いSharetalkのShuky氏。4か月前にアイディアを思い付いたので、まだサイトなどはないがビジネスのコンセプトを熱心に語ってくれた。彼はイスラエル参謀本部諜報局の8200部隊で働いていた経験を持っている。8200部隊は1年に1回テルアビブで同窓会を開いているが、その目的は優秀な人材のスカウトの場である。

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"Tel Aviv -Yafo is the Startup City of the Startup Nations" と書かれている。

【参考動画】イスラエルでは国内だけでなく、海外からもスタートアップへの投資や誘致を促進するために様々な取組みを行っている。

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。