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エンジニアがロンドンで暮らすとどのぐらいの生活費がかかるのか?

2014.06.25

Updated by Mayumi Tanimoto on June 25, 2014, 05:57 am JST

前回の記事に対していくつか質問がありましたが、その中でも目立ったのが「報酬はわかったが、では実際に生活するとどうなのか?」でありました。早速ですが、エンジニアがロンドンで生活した場合、どの程度の生活費がかかるのかというのを簡単にご紹介します。£1=170円の計算です。

まず、2014−2015年度を基準として手取り給料を計算した場合、以下の様になります。

<計算の前提条件>

- 30代独身
- フルタイムの正社員。雇用契約は雇用期限がない
- 政府からの福祉手当は一切受け取っていない
- 通信およびIT業界勤務のエンジニア
- 学資ローン返済はない
- 雇用主がサポートする個人年金掛け金 額面給料の20%
- 雇用主が提供するベネフィット 額面給料の15%
- 残業代は含まない
- ボーナスは額面給料の15%
- 雇用主がサポートする個人年金への掛け金は非課税
- 雇用主が提供するベネフィットは50%を個人年金への掛け金とし、残り半分は非課税の ベネフィット(例:プライベー トの健康保険等)に使用することで全額非課税
- 個人年金は雇用主の委託を受けた民間の投資会社が運営
- 国民健康保険および国民年金加入(日本の厚生年金に該当する物がない)
- 医療費は無料
- Greenwich在住
- 年収が£31,865(約541万円)を越えると所得税は40%+
- Take-Home Tax Calculatorを使用して計算

額面基本年収£35,000(約600万円)の場合
*エントリーレベルのサポート&開発エンジニア
*===================*
ボーナス £5,250(約89万円)
雇用主が提供するベネフィット(非課税)£5,250(約89万円)
*===================*
年収 £45,500 (約773万円)

*===================*
個人年金掛け金 (非課税)£7,000.00(約119万円)
所得税課税給料 £23,250.00(約395万円)
所得税 £4,650.00(約79万円)
国民健康保険および国民年金 £3,407.49(約57万円)
地方税 £853.27(約14万円)
*===================*
手取り £29,590(約500万円)

額面基本年収£70,000(約1200万円)の場合
*サポートマネージャ、ネットワーク管理者等
*===================*
ボーナス £10,500(約178万円)
雇用主が提供するベネフィット(非課税)£10,500(約178万円)
*===================*
年収 £91,000(約1,547万円)

*===================*
個人年金掛け金 (非課税)£14,000.00(約238万円)
所得税課税給料 £56,500.00(約965万円)
所得税 £16,227.00(約275万円)
国民健康保険および国民年金 £4,841.78(約82万円)
地方税 £1,279.91(約21万円)
*===================*
手取り £54,651(約929万円)

次に生活費がどの程度かかるのかを計算します。以下は前提条件です

- 住居はGreenwichのワンベッドルームのフラット(アパート)中古物件
- 購入価格 £220,000(約3,700万円)
- 頭金£44,000(約748万円)は購入時に一括で支払ったので、住宅ローンの残りは£176,000(約2,900万円)
- 住宅ローン金利は年6%25年返済で月返済は£1,140(約19万円)
- 通勤に使用する駅はGreenwich Station(Zone 2)
- 通勤交通費は自費(通常イギリスでは交通費は自費)
- 通勤には年間定期券を購入(ロンドンのZone 2内の地下鉄、バス、電車、トラムに無制限で乗り放題)
- 服装は地味である
- 趣味は映画、読書、ネット
- 車はない
- 自炊中心
- 技術書を買うため書籍代が若干高い

<生活費>
住宅ローン返済 £1,140(約19万円)
交通費 £104(約17,000円)
食費(昼食は持参) £235(約4万円)
電気代 £30(約5,000円)
ガス代 £30(約5,000円)
ISP、固定電話、ケーブルテレビ(BT) £17 (約2,890円)
携帯電話代(SIMフリー機種Pay-as-you-go)  £15(約2,500円)
交際費 £100(約17,000円)
服代 £30(約5,000円)
書籍費 £100(約17,000円)
雑費 £100(約17,000円)
*===================*
合計 £1,901 (約32万円)

額面基本年収£35,000(約600万円)の人の場合は手取り月収が£2,536(約41万円)なので、生活費を引いた場合、貯金&予備費が£571(約90,000円)となります。

額面基本年収£70,000(約1200万円)の人の場合は手取り月収が £4,609(約77万円)なので、生活費を引いた場合、貯金&予備費が£2,685(約45万円)となります。投資用にもう一軒フラットを買うことが可能かもしれません。

住宅ローンが高い感じがしますが、ロンドンは住宅不足のため住宅価格が高騰しており、住宅を所有することは割の良い投資になることがあるという点に注意が必要です。

例えばGreenwichの場合は、2014年前半時点で住宅価格が年に13%上昇しています。住宅が不足している理由は移民の増加や高い出生率による人口増加です。日本と異なり、自然災害リスクがないので、築年数がかなりたっている中古物件であっても高い価格が付くことがあり、中古物件の購入は人気があります。木造家屋ではないためリフォームも容易です。

食費に関しては、付加価値税が高いため外食した場合は日本より割高です。例えば、手作りの食事を出すガストロパブで食事した場合、前菜は850円程度、メインコース(主菜)は1,700円から2,500円程度、プディング(デザート)は850円程度です。冷凍食品を使っているチェーン店の場合はもっと安くなります。そこそこの店で夕食を食べた場合、一人5,000円ぐらいかかります。お持ち帰りのお寿司は一箱850円程度、サンドイッチは一人前500円程度です。ロンドン中心の場合、ビールは1パイント(500ccぐらい)で800円程度です。屋台で何か食べた場合は一品500円程度です。

なお、生鮮食品や子供用品には付加価値税がかからないので、自炊した場合は費用の節約が可能です。例えば大手スーパーTescoで売っている商品の値段は以下の様になります。

人参1キロ £0.80 (約136円)
キャベツ1玉 £0.69(約117円)
マッシュルーム 300グラム £1.00(約170円)
牛乳1リットル £0.89(約151円)
卵6個パック £0.89(約151円)
牛挽肉750グラム £2.69(約457円)
鶏丸ごと一匹(1−2キロ) £2.48(約421円)
ヨーグルト500グラム £0.45(約76円)
日本米 500グラム £1.49(約253円)
キッコーマン醤油250cc £2.60(約442円)
食パン800グラム £1.00(約170円)
スパゲティ 500グラム £0.20(約34円)

(編集部より)本記事の公開時、ページ替えについて不具合がありましたので、修正をいたしました。読者の皆様にはご迷惑をおかけいたしましたことをお詫びいたします。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。