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電話機の置き場所

2015.02.19

Updated by Kenji Nobukuni on February 19, 2015, 12:00 pm UTC

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黒電話などと呼ばれたダイヤル式の住宅用アナログ電話機は、多くの家で玄関に置かれていた。これは電話の普及率が低かった昔の名残で、当時はテレビのある家の茶の間に近所の人が集まっていっしょに観たり、家族や友人に、ご近所で電話のある家の電話番号を伝えておいて、かかってきたらその家の人が呼びに来てくれて、他人の家の電話機で電話を受けたりしていた。そのため、電話機は玄関に置いておくのが、貸す側からも借りる側かも好都合だったのだ。1970年ごろの小学校の緊急連絡網には、電話番号の横に「呼」と表示されていたりして、呼び出し電話であることを示していたりしたものだ。

電話が普及すると、玄関に置く必然性は薄くなり、居間やキッチンに親機を、子供部屋などに子機を置くような留守番電話機能つきのコードレスホンの時代がきた。そして今や、携帯電話によって電話機そのものが家から追い出されつつある。時代と共に近所づきあいは希薄になり、隣家で4Kテレビを買っても見せてもらうことはないし、小学校の連絡網には個人情報が掲載されなくなった。

フランスのInvoxia社が作ったTribyという製品はBluetooth対応の無線スピーカーで、持ち運んだり、カウンターの上に置いたり、冷蔵庫のドアに磁石で張り付けたりすることができる。スマートフォンやiPodから音楽を流すこともできるが、ボタンを押すだけで家庭用Wi-Fi経由で家族などに電話をかけることもできるのが特徴だ。

両親不在時に帰宅した子供が、ワンタッチで母親に電話できる。着信をTribyで受けることもできる。iOSのアプリと連動して、スマートフォンの画面に指で手書きした絵や文字をTribyの小さなe-linkの画面に表示させることもできる(Android版開発中)。かつては手書きのメモでそうしていたように、おやつの場所をスマホを持たせる前の小さな子供に知らせたり、宿題を済ませるように促したりすることもできるだろう。ベビーシッターに指示を出すこともできる。緊急通報の番号を登録しておけば、小さな子供でも救急車や消防車を呼べるように教えておくこともできる。

各自がスマートフォンを持つようになり、孤立しはじめた今、冷蔵庫に貼りつけたWi-Fiスピーカーフォンが家族のハブになる。Tribyは今夏発売予定で190ドルほどになるようだ。最終的に「電話機」は冷蔵庫のドアに自分の場所を見出すということなのかもしれない。

【参照情報】
Tribyのウェブページ
Invoxia's smart magnet turns your fridge into a speaker you can doodle on
Hands On: Invoxia Triby, a Connected Kitchen Radio

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信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。 訳書:「Asterisk:テレフォニーの未来