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フィリピン政府、公共施設の無線Wi-Fi導入プロジェクトにNICTのホワイトスペースデータベース技術を採用

NICT will cooperate with ICTO to offer TV White Space for free

2015.05.08

Updated by Asako Itagaki on May 8, 2015, 07:35 am JST

国立研究開発法人情報通信研究機構(以下NICT)とフィリピン科学技術賞情報通信技術局(以下ICTO)は、NICTが開発したTV放送帯ホワイトスペースの有効利用に必要な周波数管理データベースをICTOが利用するためのライセンス契約を締結した。

ICTOはフィリピン全域の公共スペース等に無料Wi-Fiによるインタネット接続を提供するインフラ整備(Free Wi-Fiプロジェクト)を計画しており、その中で活用する技術としてTV放送帯のホワイトスペースの利用を検討している。ホワイトスペースの利用には各地点において利用可能な周波数を分析する「ホワイトスペースデータベース」が必要となる。NICTはICTOからの要請に基づき必要なデータベース技術を提供することを目指し、2015年3月に覚書を締結して協議を重ねていた。

提供されるホワイトスペースデータベースにはICTOが提供するフィリピンのすべてのテレビ放送送信所の情報が入力されており、地形情報にもとづき放送エリアを計算することで、指定地点における利用可能チャネルの一覧を作成する。

▼ホワイトスペースデータベースの検索画面の例。「31チャンネル」のTV放送エリアは赤で示された地域であることが示される。また、地図の上部にはチャンネル2から51までの各チャンネルがホワイトスペースとして利用可能かどうかを判定している。(報道発表資料より
20150508-nict-1

実際のシステムでは、無線システムのGPSにより取得された位置情報がデータベースに送信され、データベースからは利用可能なチャンネル一覧が返送される。返送されたチャンネルリストの中から無線システムが送信チャンネルを選択することで、通信システムを継続運用する利用形態が期待できる。

NICTはこれまで技術評価を目的として、米国や英国などを含む世界各国のホワイトスペースデータベースの開発を行い、実証実験を重ねていた。2014年にはロンドン市街地でホワイトスペースを用いた40Mbp高速ブロードバンド通信に成功し、英国情報通信省の認定を受けている。

 

【報道発表資料】
 フィリピン政府情報通信技術局がNICTのTVホワイトスペース利用技術を採用

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。