マクラーレンによるF1カーのセンサー分析技術を応用したヘルスケア
F1 cars have accurate sensors which can be useful for healthcare, well Duh!
2015.05.20
Updated by Kenji Nobukuni on May 20, 2015, 23:02 pm JST
F1 cars have accurate sensors which can be useful for healthcare, well Duh!
2015.05.20
Updated by Kenji Nobukuni on May 20, 2015, 23:02 pm JST
イギリスのマクラーレン(McLaren)は老舗のカーレース・チームで2015年からホンダと組むことから日本にも支持者が多い。同社に限らないがF1などで使われる車にはコンピュータ化されたエンジン制御システムが搭載され、車体にも多数のセンサーが組み込まれていて、データを無線で飛ばし、専門の分析担当が時々刻々変化する車体やエンジンの具合を見て対策を立てている。
同社内のビジネスユニット、McLaren Applied Technologies(マクラーレン応用技術部門)は、レースカーのデータ分析手法をヒトに適用しようとしている。活動量計(トラッカー)などはセンサーであり、高機能なものはすでに歩数だけでなく体温(皮膚温度)、脈拍、血圧などを非侵襲(non-invasive)で、つまり注射針などを刺すことなく計測できる。センサーは進化を続けており、血中酸素濃度、水分量、血糖値などをリアルタイムにモニタリングできるようになるだろう。マクラーレンは、これらのデータをレースカーのセンサーが上げてくるデータの分析でつちかったノウハウで分析すれば、人間の身体の状態をチューニングできると考えているようだ。
すでにオリンピック選手であるアスリートなど身体的パフォーマンスの管理が極めて重要な人々には「実験」済みらしく、次の実験台はイギリスのラグビー代表チームだという。身体に装着したセンサーだけでなく、気温や湿度その他、環境センサーからのデータも使い、さらに医学だけでなく人間の行動科学や心理学の知見も取り入れて、活用する算段だ。
当初は収集可能なデータは何でも集めてというスタンスだったため、解析に時間がかかってしまった。だが時間がかかりすぎては、トレーニング終了後にトレーニングをやり過ぎたことが判明しても役に立たない。その後、意味ある特異値を即座に検出可能なように収集データを選び、アルゴリズムを改良した。
スポーツ選手の次には、普通の人々が「F1分析」の対象になる。健康な人はもちろん、病気治療中の人々にも適用されることだろう。ビッグデータ、IoTなど呼び方はさまざまだが、新しい業際エリアには意外な方面からの新規参入を呼び込み、思いがけない成果を生むのかもしれない。
【参照情報】
・McLaren Applied Technologies公式サイト
・Your Body Is a Race Car. McLaren Wants to Optimize Its Performance
・Hacking human health and behaviour
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