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[2015年第27週]ソフトバンクもMVNO推進、4K 60P/120P対応のエンコーダー、富士山で外国人向けWi-Fi

Weekly Report: Week 27 2015

2015.07.07

Updated by Naohisa Iwamoto on 7月 7, 2015, 14:47 pm JST

2015年も折り返し点に到達した7月1日、従来のソフトバンクモバイルが「ソフトバンク」に、従来のソフトバンクが「ソフトバンクグループ」に商号を変更した。ソフトバンクBB、ソフトバンクテレコム、ワイモバイル(旧イーモバイル、旧ウィルコム)を吸収合併したソフトバンクモバイルは、モバイルだけでなく実質的に国内事業全般に拡大して、名実ともに「ソフトバンク」へと成長したことになる(報道発表資料:商号変更について)。

そのソフトバンク(発表当時はソフトバンクモバイル)は、子会社のSBパートナーズと産業分野のパートナー企業との協業により、MVNO事業を推進していくと発表した。MVNOサービスの拡大およびIoT関係のビジネスの立ち上がりなどのニーズに対応するため、SBパートナーズがパートナー企業とともに付加価値の高いサービスを開発し、MVNO事業の拡大を目指す(報道発表資料:MVNOへの取り組みについて)。

MVNO関連では、訪日外国人向けのSIMのニュースもあった。インターネットイニシアティブ(IIJ)は、訪日外国人向けのプリペイド型SIMカード「Japan Travel SIM」に、短期滞在者向けの新パッケージを追加した。新パッケージは、「Japan Travel SIM(1GB/30日間)」。初回の通信時から30日間で1GBまでのデータ通信ができる。これまでJapan Travel SIMでは「2GB/3カ月間」を提供してきたが、短期滞在の訪日外国人向けに小容量で短期間のパッケージを追加した。価格はオープン。また、同時にJapan Travel SIMで、データ通信量の追加チャージを可能にする。いずれも7月9日にサービスを開始する(関連記事:IIJの訪日外国人向けプリペイドSIM、短期向け1GBを追加、チャージにも対応)。

4Kでスポーツをなめらかに、インフォシティがデジタル放送の必須特許権者に

動画配信や放送に関連するニュースを紹介する。NTTは、現在4K配信に使われている秒間60フレーム(60P)の映像と、スポーツ映像などの被写体の動きが激しい映像に適した秒間120フレーム(120P)の映像を、同時に伝送可能なHEVCソフトウエアエンコードエンジンを開発した。「時間方向階層符号化」で同時同時伝送を可能にしたほか、「可変ビットレート」(VBR)の採用で従来方式よりもデータ量を40%削減できた。NTTが開発した技術は、NTTアドバンステクノロジが取得。ソフトウエアコーデック開発キット「HEVC-1000 SDK」と、ファイルコンバートソフトウエア「RealFeel FileConvert 4K」をバージョンアップして販売を開始する(関連記事:NTT、4Kで60P/120P同時伝送を可能にするHEVCエンコードエンジンを開発

インフォシティは、デジタル放送規格(ARIB標準規格)およびCATVデジタル放送規格における必須特許ライセンス管理を一括して行うアルダージとの契約締結を発表した。2015年3月に日本知的財産仲裁センターより、同社所有の特許に対して両規格にかかる必須判定を受けたことによるもの。これにより、同社はARIBおよびCATVの必須特許権者の一員となる。インフォシティは1996年にデータ放送関連技術であるbitcastを開発し、TBSやフジテレビ系列でデータ放送やEPGの送出などに使用された経緯がある(関連記事:インフォシティがデジタル放送に関するパテントプールのメンバー入り

加入者体感向上ソリューションをSBが採用、位置情報活用の取り組みも

キャリア関連のニュースをチェックしていこう。まず、ソフトバンクが加入者体験の向上を目指した一手を打つという話題から。通信事業者などの加入者体感品質を向上するソリューションを展開しているプロセラネットワークスは、ソフトバンクのLTEサービスに対してプロセラネットワークスの「PacketLogicソリューション」を提供したと発表した。PacketLogicソリューションは、従来のモバイル解析に加えて、加入者体感の指標を視覚化し、リアルタイムおよび時系列で情報を示すことができる。プロセラネットワークスは伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)と合同で、PacketLogicソリューションをソフトバンクに提供した(報道発表資料:プロセラネットワークス、 ソフトバンクのLTEネットワークへPacketLogicソリューションを提供)。

位置情報関連で2つのトピックがあった。NTTドコモは、スマートフォンの利用者などが特定のエリアに入ったことを検知して通知する「ジオフェンシング」技術を活用して、鉄道に関する新しいサービスのビジネスプランを募集するコンテストを開催する。京浜急行電鉄(京急電鉄)と協力して実施するもの。ジオフェンシング技術と、駅や電車、沿線情報を組み合わせた新しいサービスのビジネスプランを募り、鉄道の利用機会を増やすことや、国内観光客だけでなく訪日外国人などインバウンドの観光支援などにつなげたい考えだ(関連記事:ジオフェンシングを活用した鉄道関連のビジネスプランコンテンスト、ドコモと京急が開催)。

KDDIとユーピーアールは、物流業界向けの温湿度管理機能付き位置情報端末「なんつい」を共同開発したと発表した。GPSを利用した位置情報と、温度・湿度のセンサー情報を合わせてリアルタイムで収集し、管理できる。品質管理や事故防止を徹底する物流業界の用途に向ける。薬剤や食品など、温度・湿度の変化を嫌う物品の輸送にかかわる品質維持や、輸送事故の防止が目的だ(関連記事:温湿度と場所をリアルタイム管理、物流向けの位置情報端末「なんつい」をKDDIらが開発)。

富士山で外国人向けフリーWi-Fi、2020年にはスマホが60億件超に

このほか、この1週間の主なトピックを紹介する。前週、UQコミュニケーションズとKDDIが今夏のサービス提供をアナウンスした富士山頂情報の続報から。静岡県、山梨県とNTTドコモは、富士山頂と五合目で外国人登山者向けの富士山無料Wi-Fiサービスを2015年7月10日から開山期間中、提供する。ドコモの公衆Wi-Fiサービス「docomo Wi-Fi」の設備を利用し、山頂や五合目など8か所のアクセスポイントを利用できる。外国人登山者は、各登山口の五合目などで配布されるカードに記載されているユーザーIDとパスワードを利用して、72時間、無料でインターネット接続ができる(報道発表資料:外国人登山者向けの富士山無料Wi-Fiサービスを提供)。

またドコモは、富士山の山開き期間中に富士山の山頂で、FOMA及びLTEの通信サービスを提供することもアナウンスしている。2015年は、富士山頂の一部エリアでLTE-Advancedの技術を使った下り最大225Mbpsの「PREMIUM 4G」も7月下旬以降より提供する予定だ。登山口・登山道では6月23日からPREMIUM 4Gの通信サービスを提供開始しており、こちらは通年利用が可能だ(報道発表資料:山開き期間中の富士山頂において通信サービスを提供)。

ソフトバンクも、富士山頂と山小屋で高速データ通信サービスの提供を7月7日に開始する。これにより、富士山頂で下り最大112.5Mbpsの「SoftBank 4G LTE」や、「SoftBank 3G」が利用できるようになる(報道発表資料:富士山頂で今年もLTE通信を提供開始)。

世界のモバイル事情のレポートから。エリクソン・ジャパンは、エリクソンが発行した「エリクソン・モビリティレポート」(以下、モビリティレポート)の報道機関向け説明会を開催した。

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ビリティレポートのハイライトとして、2020年の予測としてモバイル契約総数が92億件に、スマートフォンの加入契約数は現在の2倍を超える61億件に、そして動画のモバイルデータトラフィックは現在の9倍に伸びることを紹介した(関連記事:2020年のモバイル契約は92億、アプリごとのカバレッジが重要に--エリクソン)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。