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最先端市場“日本”で得た知見を世界に発信--エリクソン・ジャパンの戦略説明会

2015.09.14

Updated by Naohisa Iwamoto on 9月 14, 2015, 20:37 pm JST

エリクソン・ジャパンは2015年9月14日、エリクソンの日本法人の設立30週年を記念したイベント「Networked Society Day」を開催し、併せて記者説明会を実施した。同社では8月3日付けでマイケル・エリクソン氏が代表取締役社長に選任され、これまで代表取締役社長を務めてきた野崎哲氏とダブル社長体制を採る。説明会では、2020年に向けた事業戦略として、エリクソン氏がグローバルの方針を中心に、野崎氏がエリクソン・ジャパンの方針を中心に説明した。

エリクソン氏は、エリクソンのビジョンとして「すべての人と企業が最大限の力を発揮できるよう後押しするネットワーク化社会」を掲げた。「2020年には、世界の90%の人がモバイルネットワークでつながり、その70%がスマートフォンを利用しているでしょう。エリクソンでは全世界で500億のデバイスがネットワークにつながる社会が来ると予測していますが、2020年の時点でその半分の260億のデバイスが接続することになると見ています」(エリクソン氏)。さらにデータのボリュームを追求するだけでなく、品質への要求が高まっていると指摘する。そのためには、コスト効率の良いネットワークの提供が求められ、エリクソンではそのリクワイヤメントに応えることを目標としていると説明する。

▼エリクソンが描く成長戦略。左下の中核事業から、様々なターゲット分野にパートナーと協力して事業を拡大する20150914_ericsson001

また、エリクソンの成長戦略についても解説した。「定常的に進化する中核事業としては、無線やコアネットワーク、伝送、テレコムサービスを位置づけています。そのほかに、成長を牽引しリーダーシップを確保するターゲット分野を定めています。IPネットワークやクラウド、ビッグデータやアナリティクスによるOSS、BSS、テレビやメディアがその代表です。もう1つ注力しているのが、産業や社会といったテレコム以外の分野です。公共や輸送、医療など様々な分野でエリクソンのモバイルネットワークを活用してもらうことで、ネットワーク化社会を実現して利益を享受してもらいたいと考えています」(エリクソン氏)。

エリクソン・ジャパンの日本市場における取り組みについて野崎氏は、「“日本から世界へ”を目指しています。日本は最先端の市場であり、モバイルブロードバンドでは東京の山手線内のトラフィック問題をどうやってクリアしていくかという知見は、世界に広げられるものです。IoT分野でも日本の高い要求レベルを受けて、その知見を世界に発信していくことができます。日本では、2020年の5Gの商用化や、クラウドベースの仮想化ネットワークの構築など、他の国に先行してる部分が多く、日本から世界に発信することをエリクソン全体の中で期待されているのです」と語る。

▼エリクソン・ジャパンが「日本から世界へ」を目指す分野20150914_ericsson002

日本市場での注力分野としては「モビリティ」「クラウド、仮想化」「M2MとIoT」の3分野を掲げた。モビリティではLTEの導入が一段落したことを受けて「これからはピークレートが高いというだけでなく、さらなるチューニングを施してより良いユーザー体験を提供できるネットワークを作り上げていきたい」(野崎氏)。クラウドでは商用化に向けたネットワーク構築に取り組んでいるとした上で、野崎氏は「災害に対して堅牢性を持つネットワークをクラウドで実現すれば、社会貢献の意義もある」と語る。またM2MとIoTに関しては、モビリティを有効に活用することで仕事の効率向上やサービス品質の改善などに役立てると説明した。

こうした注力分野を推進するエリクソン・ジャパンの強みは、エンドツーエンドネットワークにあるという。個々の側面での対応だけでなく、「サービスも無線もネットワークもクラウドも一気通貫のエンドツーエンドで対応できないと、ユーザーの要求に応えられない時代になっています。スマートフォンやコネクテッドカー、医療など様々な分野で求められるネットワーク要件に対して、エンドツーエンドで対応できることがエリクソン・ジャパンの強みです」(野崎氏)。

▼オリンピックなどでノウハウを蓄積してきたことが「エリクソンの強み」20150914_ericsson003

エンドツーエンドのソリューションが求められる1つの例が、オリンピックなどのイベントだという。「競技場は普段はトラフィックはないけれど、オリンピック開催時には8万人が集まります。トラフィックも、競技の決勝などではアップリンクが半分以上を占めますし、最近のオリンピックでは40%が海外からのローミングインのユーザーであるように、従来のネットワークから大きく変化しています。エリクソンでは2000年のシドニーオリンピック以来、事業者と一緒にオリンピックやFIFAワールドカップなどのネットワークをサポートし、ノウハウを蓄積してきました。2020年の東京オリンピックでもエリクソンのノウハウを生かしていきたいです」と野崎氏は未来を見据え、「2020年に向けて邁進するだけでなく、エリクソン・ジャパンの次の30年に向けて前進していきます」と説明会を締めくくった。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。