オープン・イノベーションで5Gの未来を伝える「デモ」を開発 ドコモのチャレンジ
2015.12.11
Updated by Asako Itagaki on December 11, 2015, 13:05 pm JST
2015.12.11
Updated by Asako Itagaki on December 11, 2015, 13:05 pm JST
12月10日、NTTドコモ 5G推進室とNTTドコモ・ベンチャーズは、シリーズイベント「5Gハッカソン」前半のまとめとなる「5Gアイデア発表審査会」を開催した。
シリーズイベント「5Gハッカソン」は、最終ゴールをドコモの展示会等で展示する5Gのデモ制作におく企画。前半は誰でも参加できる「アイデアコンテスト」、後半は開発/制作会社がドコモと共同でアイデアコンテストに応募されたアイデアのいくつかをデモとして完成させる「5Gバーチャルハッカソン」から構成される。
アイデアの募集にあたっては、8月22日から11月30日までの募集期間のうちに「アイデアコンテスト」では、「5G×まちづくり」「5G×IoT」「5G×ローソン」の3回のアイデアソンと「アイデア創出ワークショップ」を行い、また一般に公募を行った。この日の審査会では、集まったアイデアの中から選ばれた8件についてプレゼンテーションが行われた。
▼ノミネートされた8件のアイデア。
審査はドコモ5G推進室およびドコモ・ベンチャーズの4名の審査員と、来場者による投票により、開票はその場で読み上げで行われる。審査基準は「もっともワクワクしたを1つ選んで投票」。4名のドコモ審査員の票は「2票」としてカウントされるが、それ以外は全く会場の来場者と対等の扱いだ。ヤラセなしのガチンコ勝負である。
▼会場の投票をその場で開票して集計。かなりの接戦である。
投票の結果グランプリ(賞金30万円)には「ドコモ・スマートファーム」が選ばれたが、2位の準グランプリ(賞金10万円)は3件が同点となる大接戦となった。挙手による決選投票で、これも僅差で「2020年東京オリンピック ヴァーチャルフィールド観戦サービス」が選ばれた。
都市ビルの屋上スペースを利用したリモート制御型農園。種まき、栽培、収穫、搬送まで通信技術とドローンの掛けあわせで自動化する。スマートフォンで栽培管理を行い、収穫期にはドローンが自宅まで野菜を届けてくれる。また、テーブルの上にホログラム映像で農園を再現することで、自宅にいながら農園気分が味わえる。多数の利用者の端末を同時に接続した制御、大容量のデータを利用したホログラム再現、配達用ドローンの制御などに5Gの特性を活かす。
「テレビ映像で観る」「スタジアムから観る」ではない今までになかった観戦方法として、選手と同じフィールド内からの観戦を提案する。オリンピックスタジアム内に設置した多数のカメラやマイクを利用してヴァーチャル試合空間をリアルタイムに作成。ヘッドマウントディスプレイを付けてフィールド内を自由に移動可能とする。多数端末の接続、高速大容量、低遅延の5G技術の特性を活かす。
プレゼンテーション終了後の総評で、NTTドコモ 5G推進室長の中村武宏氏は、「プレゼンテーションを聞きながら、勝手にデモンストレーションの様子を妄想してニヤニヤが止まらなかった。いい可能性をいただけたと思っています」と嬉しそうに語り、これらのアイデアをデモとして実現していくための協力を会場に呼びかけていた。プレゼンテーション終了後、懇親会場には、8つの箱が置かれ、開発者や製作者が興味のあるアイデアの箱に名刺や連絡先を書いたカードを投入していた。
▼プレゼンター全員集合の記念撮影。
▼パートナーに手をあげたい人が連絡先を入れていく。どの箱にも複数のカードが入っていた。
ノミネートされた8件のアイデアは「高速・大容量」な5Gの特性を活かし、映像を活かしたものが多かった。これについて中村氏は、「デモとして見た目が華やかだし、実際にトラフィックのうち映像が占める割合はどんどん高くなっているのでいいと思う」と評していた。
なお今後は、今回ノミネートされた8件に限定せず、寄せられた数十件のアイデアを元に「楽しそうでデモとして見栄えが良く、かつ5Gで何ができるか訴求でき、ドコモの伝送実験システムに接続して展示できるもの」という条件でいくつかのアイデアと開発パートナーを選び、アプリケーションを開発する。中村氏によれば「(審査会の)当日来場して手をあげてくれた人だけでなく、グループ会社やこれまでに関係のあった開発者などに広く呼びかけて決める」とのことだ。既に開発者を対象とした「デモパートナー・ミートアップ」を2回開催している。
今後は1月末までデモ開発提案を受け付け、2月以降にパートナーを選定、契約。その上で共同開発をすすめる。完成したデモは5G Tokyo Bay Summit(2016年春を予定)、DOCOMO R&D Open House(2016年11月予定)、2017年春のMobile World Congressなどでパートナー名と共に展示される予定。「共創、オープン・イノベーションとして、外の人と協力して作ろうということで始めた企画だが、今のところ結果オーライです。早ければ5月末頃には第一弾のデモが公開できればいいと思っています」(中村氏)とのことだ。
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登録はこちらWirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。