original image: Steve Slater(CC BY)
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通りに面した店舗を構えている人は、常連客の来訪とともに、通りすがりの人が来店してくれるのを待っている。何曜日の何時ごろに、どれくらいの人通りがあるのか分かれば、値引きなどのキャンペーン施策を有効に打つことができる。テナント募集中の家主や不動産業者は、同じ情報でいかにその物件がテナントに魅力的か、データで示すことができる。しかし、カウンターを持って人が人を数えるのは大変だ。
ニューヨーク市のスタートアップ、Placemeter社の「センサー(Sensor)」は、店舗などの窓に取り付けるデバイスで、店の前を通る人、自動車、バイクの数と動く方向を時々刻々と検出して記録することができる。価格は90ドルで2016年に出荷予定。90日間の試用期間中に返品すれば、90ドル支払う必要はない。
顔認識などはせず、人かクルマかを識別する程度なのでプライバシー侵害の恐れは少なく、画像は数値データにすぐに変換されてしまうそうだ。窓の内側などに取り付けて、Wi-Fiまたはセルラーでクラウドにデータをアップロードする。プロトタイプ版ではWebカメラの画像をクラウドにアップロードして、人数のカウントなどのアルゴリズムの処理はクラウド側で行っていたが、市販されるセンサー機器はローカルで人や自動車を数えて、数値データだけをアップロードする。APIも公開し、データの加工を第三者が行うことも可能になる。
AI(人工知能)にさまざまな職業の仕事が奪われるという話題が多くなっているが、公共機関や大手デベロッパー、マーケティング会社などが行う人や車の通行量の調査も、こうしたデバイスに奪われるのかもしれない。ちなみに日本で通行料調査のアルバイト報酬の相場は日給1万円だそうなので、そうした調査を行う事業者から見れば、同程度の価格で24時間休みなしにデータが取れる「センサー」はむしろ格安とも言えるだろう。
【参照情報】
・Placemeter
・Quantified Public Space: Placemeter Sensor
・Placemeter senses retail foot traffic
※Intelligence Designerより転載(元の記事を読む)
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登録はこちらNTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。 訳書:「Asterisk:テレフォニーの未来」