オプティムとMRT、国内初のスマホ遠隔診療サービスを2016年4月から開始

2016.02.05

Updated by Asako Itagaki on 2月 5, 2016, 07:00 am JST

オプティムとMRTは、国内初となるスマートフォン・タブレットを用いた遠隔診療サービス「ポケットドクター」の提供を2016年4月から開始する。

これまで遠隔診療は、物理的に対面診察が困難な離島やへき地の患者を診察する場合以外は原則禁止とされていた。だが、高齢化社会の進行による通院困難者の増加が見込まれるなど遠隔診療の必要性が増してきたことから、2015年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2015」において、「遠隔医療の推進」が盛り込まれた。

しかし、現時点で気軽に遠隔医療を受けられる身近なサービスは現状まだ存在していないことから、IoTプラットフォームサービスを手がけてきたオプティムと、医師や医療機関をつなぐ医療情報のプラットフォームを提供するMRTが、それぞれ自社の強みを活かし協業する。

Optimal Remote Experienceコンセプトで遠隔地から医療を提供

従来の電話を利用した遠隔診療では、医師は患者が話す内容でしか症状を判断できなかった。ポケットドクターでは、患者のスマートフォンに搭載されたカメラや、ウェアラブル機器を利用して、遠隔地にいる医師が相談者の顔色や患部の状況、ウェアラブル機器から取得できるバイタルデータを確認できるので、医師はより具体的なアドバイスや診療が行える。

また、共有している映像や画像に対して、医師は赤ペン機能や指差し機能を活用できるので、患者に対して撮影して欲しい場所の指示や、症状の説明を的確に行える。将来的には、院内の電子カルテ情報やレントゲン写真などの画像データの共有も視野に入れる。

▼遠隔医療相談中の画面イメージ(報道発表資料より)
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株式会社オプティム 代表取締役社長の菅谷俊二氏は、「世界の人々に良い影響を与えるサービスを作りたいと展開して来た。MRTの馬場社長と出会い、日本初の遠隔医療サービスをご紹介できるのはオプティムの歴史にとってもうれしいしありがたいこと」と語った。同社は、遠隔から人の体験を共有し作業をサポートする「Remote Experience Sharing」のコンセプトの元、通信事業者各社のリモートサポートサービスや、コマツのスマートコンストラクションなどのソリューションを提供してきた。ポケットドクターはこのコンセプトを医療分野に応用したものとなる。

遠隔診療は保険適用可能、気軽な相談機能も提供

ポケットドクターは3つのサービスを提供する。

かかりつけ医診療(2016年4月開始予定)

すでに初診を行った医療機関に対して、どこからでも再審を受けられる遠隔医療サービス。忙しくて通院による再診ができない場合や、医療機関が遠い、高齢、身体が不自由などの理由で通院が困難な患者が再診を受けられる。従来の「電話診療」として扱うことで、健康保険適用が可能となる。1,340の医療機関が趣旨に賛同し参加を予定しているが、これは全国の医療機関(約10万)の約1%にあたる。参加医療機関に対するシステム利用料は、当面無料で提供する。

予約相談(かかりつけ医診療サービスに続けて順次開始)

「ポケットドクター」に登録された全国の専門医に対して、時間を予約して健康相談を行える。近所に専門医がいない場合のファーストオピニオンや、かかりつけ医以外の医師に意見を聞くセカンドオピニオンでの活用を想定している。価格は5分1500円を予定している。

今すぐ相談(2016年内開始予定)

急な腹痛や発熱など、医療機関にすぐ行くべきか迷うような時に、ポケットドクターに相談を入力すると登録医師のうち手の空いている医師が応対する。24時間365日対応。価格は月額500円を予定している。

「予約相談」や「今すぐ相談」は、登録医師が診療の空き時間に対応する。「先生(医師)の時間、すなわち医療資源は限られています。貴重な医療資源を日本の隅々に届けたい。また世界にいる医療を享受できない人たちにも届ける役にも立ちます」(MRT株式会社代表取締役社長 馬場稔正氏)産前産後休暇や育児休業などで現場を離れている女性医師も、ポケットドクターを活用して、診療が可能になる。

「このシステムは日本の医療形態を速いスピードで変える」

都内で開催された説明会には、ポケットドクターに賛同した医師らも出席(冒頭写真)。MRTの顧問で慶応義塾大学医学部相川直樹名誉教授は、「このシステムは日本の医療形態を速いスピードで変えると思う。メディカルアドバイザーとして、サービスの医療レベルを上げ、安心安全の確保をお手伝いさせていただく」と挨拶した。

衆議院議員でありかつ現役医師として今も月20件の手術をこなす伊東信久氏は、「遠隔医療にたずさわる民間企業を議員としても後押ししたい。ポケットドクターには大きな可能性を感じているので、遠隔診療のパイオニアとして頑張って欲しい」とエールを送った。また、おおたけ内科クリニック院長の大竹真一郎氏は、「現在は医師が不足していて、診察に行っても長時間待たされ、気軽に相談ができない。ポケットドクターで患者さんは気軽に相談でき、医師は隙間時間に相談に乗らせていただけるシステムに期待している」と期待を寄せた。

今後は、さまざまなヘルスケア機器やウェアラブルデバイスと連携して情報を医師や医療機関と共有することにより、患者に自覚がない状態でも疾患を事前に検知できる仕組みを目指す。また、これらのデータを自動解析するAIの開発にも取り組む。

▼ヘルスケア機器やウェアラブルデバイスとの連携イメージ(報道発表資料より)
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2019年までに医療機関参加数10,000、「予約相談」対応医師1,000名以上、「今すぐ相談」対応医師10,000名以上を目指す。医療機関数10,000件は、「約10%の医療機関が遠隔診療に対応することで、患者と医師の皆さんの頭の片隅に『遠隔医療をやってみようか』と思っていただける数値として設定した」(菅谷氏)とのこと。また、2015年12月からメンタルヘルスケアやストレスチェックが義務化されたことを受け、企業からの問い合わせも多いことから、B2Bモデルでの産業医による遠隔相談サービス提供なども検討する。

▼MRT株式会社代表取締役社長 馬場稔正氏(左)と、株式会社オプティム代表取締役社長 菅谷俊二氏

【サービスサイト】
ポケットドクター

【報道発表資料】
オプティムとMRT、国内初となるスマホ・タブレットを用いた遠隔診療サービス「ポケットドクター」を発表

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。