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KDDI、プロドローン、ゼンリンが空の3次元地図を利用して自律飛行する「スマートドローン構想」推進で提携

2016.12.20

Updated by Asako Itagaki on 12月 20, 2016, 10:03 am JST

KDDI、プロドローン、ゼンリンの3社は、モバイル通信ネットワークを活用したドローン専用プラットフォーム「スマートドローンプラットフォーム」の商用化に向け、業務提携を発表した。KDDIが提供する4G LTEネットワークおよび今後サービスを開始する5Gネットワークに接続され、空の3次元地図を利用して自律飛行可能なドローンおよびドローンが収集したデータを蓄積・分析可能なプラットフォームを提供する。

▼左からプロドローン河野社長、KDDI山本常務、ゼンリン藤沢上席執行役員

スマートドローンプラットフォームはドローン、3次元地図、運航システム、クラウドの4つの要素から構成される。機体は4G/5Gネットワークに接続し、風雨に強く、鳥や他のドローンなどとの衝突回避可能な機能を持つことが求められる。3次元地図は、「高さ」のある建造物などを乗り越え、飛行禁止区域を回避する自律飛行に欠かせない。運航管理システムは、複数のドローンを安全に効率よく動かすための制御を行う。クラウドは、ドローンが取得したデータを統合・分析し、価値を提供する。

KDDIはモバイル通信ネットワークおよびクラウドサービスの提供を行う。また加えて、基地局にドローン向け気象観測装置や位置確認・衝突回避用アンテナ設置、局舎屋上へのドローンポート設置などのインフラ提供も行う。プロドローンはその機体開発力を活かし、多種多様なニーズに合わせた産業用ドローンハードウェアおよびその制御システムを提供する。ゼンリンは保有している地形・建物情報をベースに空域情報を3次元化した「空の3次元地図」を提供する。

▼ゼンリンが開発中のドローン用3次元地図イメージ
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ドローンがモバイルネットワークに接続されることで制御可能な範囲が広がり遠隔地からの飛行指示も行えるようになるため、従来よりも広いエリアでドローンを利用できるようになる。高精度な3次元地図を利用した自律飛行とあわせ、ドローン活用の可能性が大きく広がる。説明会に登壇したKDDI株式会社執行役員常務 商品・CS統括本部長の山本泰英氏は、「バーチカルなソリューションを提供するのではなく、サービスプラットフォームとしてご利用いただきたい」と述べた。まずは農業、測量、インフラ検査、災害救助、配送などのB2Bソリューションから提供を開始し、さらに個人向け撮影サービスなどのB2B2Cサービスへとドローンの可能性を広げる。

世界初「直接作業型アーム付きドローン」の遠隔操作デモを実施

既にドローンへの通信モジュール組み込みは完了している。会場では233km離れた愛知県にあるドローンを会場からの遠隔操作で離陸させ、機体とアームを遠隔操作して地上に置いたAED装置をキャッチし、目的地まで運送するデモンストレーションが行われた。1本の4G LTEのコネクションで機体の制御、アームの制御、ドローンに搭載したモニター用カメラ映像の送り返しを行っており、スムーズに操作ができていた。

デモに登場した直接作業型アーム付き大型ドローンは世界初で、2016年9月のインタードローンで発表され、大きな話題となった。他に、風圧で柱や橋梁の下部などの対象物に貼りつき四輪駆動で移動する社会インフラ検査用ドローン、水中撮影用ドローン、暗号化通信用モジュール搭載用ドローンなどの産業用ドローンが展示されていた。

▼社会インフラ検査用ドローン「PD6-CI-L」

▼橋梁の柱に風圧で貼りつき、4輪駆動で移動する。

産業用ドローン市場は2020年以降急速に拡大すると言われている。「ドローンサービス事業者がドローン作業を確実にこなすには、高機能ドローンに加えて管制技術、通信技術が必要になります。ネットワークを持つKDDI、地図データを持つゼンリンとの三社協業には期待しています」「アマゾンやグーグルなどの大手が持てるリソースを大量投入して市場の覇権を取りにいっている。日本も負けていられない。我々は世界に打って出て先端を走り、そこで得た知見をスマートドローンにフィードバックすることで、日本のドローン産業を盛り上げていきたいと考えています」と株式会社プロドローン代表取締役 河野雅一氏は述べた。

ゼンリンは人間が行っていた認知、判断、操作を機械が行う自動走行システムを実現するための超高精度地図ソリューション「ZGM Auto(ZENRIN Geospatial data Model for Automotive)」に取り組んでいるが、これに高さ情報を取り込むことで、ドローンの自律飛行用3次元地図を作製する。自律飛行に必要な運航管理、飛行経路設定、自己位置測定を高精度な3次元地図上で行い、障害物への距離を検知した回避やバッテリー切れ時の最寄り充電スポットへの立ち寄りなどを可能にする。ゼンリン上席執行役員第二事業本部長 藤沢秀幸氏は、「安全安心な飛行環境の実現を目指し、地図作りから未来を描いていきたい」と述べた。

「上空にエリアを作る」ことが課題に

KDDIは2016年11月15日に実験用免許を取得しており、今後は商用化に向け、実証実験を進める。特に、上空150m程度までが想定されるドローン空域にどのようにモバイルネットワークのエリアを作るのか、エリア境界部でのドローンの挙動をどのようにするかといった点については、「安全第一で確実に検証を進めていく」(山本氏)としており、2017年度中に試験的なサービスの立ち上げ、2018年度には商用化を目指す。

また、本提携に合わせ、KDDIはプロドローンに3億円を出資する。サービス開発に向けては、ドローン活用のアイデアをつのるため、2017年2月に、「KDDI ∞ Labo×スマートドローン」アイデアソンを開催する。また、ハウステンボスと協力してコンシューマー向けサービスを検討していることも発表された。

【報道発表資料】
KDDI・プロドローン・ゼンリン、モバイル通信ネットワークを活用したドローン事業で業務提携

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。