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空のUber「電気飛行機」の行く手はブルーオーシャンか?

2017.11.06

Updated by WirelessWire News編集部 on November 6, 2017, 11:29 am JST

イスラエルの「Eviation Aircraft社」(2016年設立)は、E(電気)+(a)viation(航空、航空機製造)、つまり電気飛行機、いわば空のテスラを使って空のUberになろうとしている。

電気飛行機はソーラー発電を使うタイプもあるが、多くは電池を積み込んでプロペラを回して飛ぶ。燃料を積んで内燃機関で動力を生み出す飛行機に比べると、燃料代が非常に安く、電気部品のメンテナンスは従来の飛行機よりもずっと簡単で安価だ。今や夢物語ではなく、各国で開発が進んでいる。

欠点もある。大型機で長距離を飛ぶのには適していない。燃料を積んで飛ぶ大型旅客機は航続距離が長く、飛ぶにつれて燃料を使うので機体が軽くなって燃費が向上するが、電池は重さが変わらない。

そこでEviationは、全長12m、翼幅15.2mの小型機(11シートで乗客9人乗り)にしようとしている。地方空港から地方空港へ、最大1000kmほどの距離を飛ぶ計画だ。1000kmというと、東京から九州、あるいは北海道のかなりの領域がカバーできる。東京から種子島までがほぼ1000kmである。

海外だと、サンフランシスコとロサンゼルスが直線距離で約620km、ボストンとワシントンD.C.が約500km、ロンドンとパリは約470kmということで、この距離を自動車で移動するとなると、道路は最短距離ではないし、時速100km程度でしか移動できない。Eviationの電動飛行機は、巡航スピードは時速約445kmと4倍以上だから、朝10時からのミーティングに出るために、前泊する必要がなくなる。

「Uberが空でテスラを使う」というのはEviation社のCEO、Omer Bar-Yohay氏の言葉だ(「Electric jet startup could become 'Uber in the sky'」)。Eviationは、大型旅客機を使う航空会社のように東京とパリを結ぶつもりはない。電車やバスよりも早く、コミューター航空会社よりも安く(バス運賃程度で)、これまで移動を諦めていた顧客からの需要を喚起して、ブルーオーシャンに乗り出そうというのだが、喩えに使われたUberも同じようなビジョン(「Uberの空飛ぶタクシー、2020年までにデモ飛行へ--ダラス/ドバイと提携」)を持っているから、この領域に競争がないとはいえないだろう。

Eviationは2019年、Uberは2020年の商用化を目指している。シリコンバレーからサンディエゴ、ソウルから北京が、ローコストかつゼロ・エミッションで結ばれて、気軽に移動できる空のマイクロバスが2020年代には一般化するのかも知れない。

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