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グローバル企業を支援するスケーラブルなIoTサービス、KDDIと日立の協業で19年提供へ

2018.06.08

Updated by Naohisa Iwamoto on 6月 8, 2018, 06:25 am JST

国をまたいでも自在に低廉な通信を利用でき、高度な分析で価値を創出できるIoTプラットフォームを、様々な業種・業態に提供する。モバイル通信を活用したIoTプラットフォームとしては、こうしたグローバル環境における高い自由度と、深い分析能力が求められる。一方で、これらの条件をすべて満たすようなIoTプラットフォームは容易には提供できない。

▼IoT世界基盤とLumadaの協業の発表で手を組む、KDDI 取締役執行役員常務の森敬一氏(左)と日立製作所 執行役常務 社会ビジネスユニットCEOの永野勝也氏IoT世界基盤とLumadaの協業の発表で手を組む、KDDI 取締役執行役員常務の森敬一氏(左)と日立製作所 執行役常務 社会ビジネスユニットCEOの永野勝也氏

KDDIと日立製作所は連携し、グローバルIoT事業に乗り出す。グローバルで事業展開を図る企業に向けたIoTプラットフォームを提供し、顧客企業の新しい価値創出やビジネス変革を支援する。協業の主な内容は、(1)KDDIと日立製作所のサービスプラットフォームの連携、(2)グローバル通信の管理、(3)幅広いIoT機器への適用支援--である。

協業に先立ち、KDDIは「IoT世界基盤」を2019年度に商用化することを公表した。KDDIは2016年6月にトヨタ自動車と共同で、「つながるクルマ」のグローバル通信プラットフォーム構想を発表し、開発を続けている。国や地域ごとに異なる通信回線を、統合管理して高品質な通信環境を提供する通信プラットフォームである。

▼KDDIの「IoT世界基盤」の構成KDDIの「IoT世界基盤」の構成

IoT世界基盤では、自動車業界向けのグローバル通信プラットフォームが提供する機能を、自動車業界だけでなく様々な業種・業態へと拡大して提供することを目論む。IoT世界基盤では、2019年度中に世界50カ国以上での同一の通信サービスを利用できる環境を整え、自動車だけでなく製造、物流、ヘルスケア、農業などの多様な業界での利用を想定する。さらにデータ活用のレイヤーでは、KDDIが提供するIoTプラットフォームに加えて、パートナー企業のデータ分析プラットフォームとも連携。幅広く高度なデータ分析の機能をIoT世界基盤に取り込む。

▼「IoT世界基盤」ではローミングより高い価値を世界で提供できると説明「IoT世界基盤」ではローミングより高い価値を世界で提供できると説明

日立製作所は、KDDIのIoT世界基盤の推進パートナーとして、幅広いIoT機器への適用支援を共同で取り組んでいく。具体的には、日立製作所のIoTプラットフォーム「Lumada」をIoT世界基盤と連携させる。Lumadaは、現場から生成される様々なデジタルデータを収集し、人工知能などの技術を駆使してコスト削減や生産性向上などの課題解決を目指すIoTプラットフォーム。KDDIのIoT世界基盤と連携することで、グローバルの通信の容易な利用や、グローバルで利用される多様なIoTデバイスからのデータ収集、高度な分析に基づく価値の創出を推進する。

▼Lumadaが培ってきた「OT」「IT」の双方の知見を生かし、KDDIのIoT世界基盤と連携
Lumadaが培ってきた「OT」「IT」の双方の知見を生かし、KDDIのIoT世界基盤と連携

IoT世界基盤とLumadaの連携により、製品を利用する国や地域の通信キャリアに自動的に接続・切り替えが可能になるほか、Lumadaのスケーラブルなコア技術によって新しい通信事業者や国・地域の拡張にも迅速に無停止で対応が可能になる。またLumadaの分散処理技術を活用してIoT世界基盤から吸い上げた大量なデジタルデータを効率的に収集・変換・蓄積を可能にする。さらに「AI分析エンジン」「稼働分析」「位置追跡」などのLumadaソリューションコアを顧客企業の課題に適応して利用できるようにするほか、他社のソフトウエアとも連携した分析体制を整えられる。その上で、Lumadaのオープンプラットフォーム性を生かして他社の外部システムと連携を可能にし、新しい価値の創出の幅を広げていく。

▼連携によりグローバルバリューチェーンの最適化のような新しい価値の提供が可能になるという連携によりグローバルバリューチェーンの最適化のような新しい価値の提供が可能になるという

KDDIと日立製作所の連携の第一歩として、日立産機システムが連携したプラットフォームの試験導入を行う。日立産機システムは産業機器の製造、販売、保守などを手がけており、産業用インクジェットプリンターの遠隔モニタリングを試験的に実施する。グローバルで10万台規模が稼働しており、印字品質の管理や安定稼働の実現を目指す。産業用インクジェットプリンターでの試験の成果を基に、予兆管理やコスト低減など遠隔モニタリングサービスの拡充を目指すとともに、産業用インクジェットプリンター以外の幅広い産業機器へのIoT世界基盤の適用、展開を検討する。

▼日立産機システムの試験導入と今後の展開日立産機システムの試験導入と今後の展開

【報道発表資料】
グローバル企業の新規価値創出や効率化を加速するKDDI「IoT世界基盤」を推進
KDDIと日立、グローバルIoT事業で協業

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。