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兼業マッチングサイト「ふるさと兼業」は"地元に関わりたい"都会の働き手と"人材不足を解決したい"地域企業の課題を解決できるか

2018.11.29

Updated by 創生する未来 on November 29, 2018, 23:40 pm JST

2018年1月に厚生労働省が副業に関するガイドライン改定をおこなったことを一つの契機に、多様な働き方や多様な生活の実現へ向けた動きが活発になっている。正社員転職にこだわらず企業と働き手をマッチングする取り組みも加速しており、マッチングを支援するwebサイトも増加傾向だ。

地域やテーマで選べる兼業マッチングweb「ふるさと兼業」もその一つ。人材不足の課題を抱えながらも新規事業などに挑戦する地域企業と、本業をやめずに地元や興味のあるテーマに関わりたい都市部の人材をつなげ、多様な働き方の推進や地方創生を加速させることを目的に、NPO法人G-net(所在地:岐阜県岐阜市、代表:南田 修司)が2018年9月にオープンした。

「ふるさと兼業」トップ

お試し制度もアリ。地域連携のフォロー体制で、受け入れ側と参画側のハードルを取り払う

「ふるさと兼業」の特徴は、各地域との徹底した連携体制にある。

まず、複数の地域団体が協働で運用する仕組みを導入しており、単なる案件掲載プラットフォームとしての機能を超えた、各地に密着した情報発信が可能になった。一極集中管理では見つけられない埋もれた魅力や仕事を発掘することができるという。

地域に密着した団体と連携した兼業人材による地域中小企業の経営革新を支える仕組み

また兼業は、受け入れ側である企業、参画側である都市部の働き手ともに現状では経験が少ない場合が多く、トラブルリスクも高い。そこで、つなぎ役として専属コーディネーターを各地域に設置することで細かなフォローを可能とし、リスク軽減につなげようという考えだ。

働き手が兼業に参画するためのハードルを下げるための施策も充実している。オンラインによる情報交換や実践者の生の声が得られるオンラインコミュニティ「パラレルキャリア準備室」の設置や、試しに参画できるお試し兼業プログラムや地域訪問ツアーなども準備している。興味はあるが、まずはどんなものか見てみたい、という人材のニーズにも寄り添う。

都市部で仕事をしながら隙間時間を活用した故郷での兼業や、デザインなど得意分野を活かした地方企業での兼業など、当事者となる人材のニーズは高まりつつある。しかし、実際に地域で兼業をしたいとなると具体的な情報が乏しく、参画障壁も高かった。ふるさと兼業では、その障壁を下げることに注力する。

両者win-winのメリットが、地方企業と都市部の人材を結ぶ鍵か

ふるさと兼業では、北海道、石川、岐阜、鳥取など、全国10地域が連携を予定しており、オープン時点で5地域15プロジェクトを掲載。林業企業での採用支援事業にまつわる運営人材の募集や、ものづくりメーカーでのマーケティング人材の募集が掲載され、会社経営者や大手企業に勤める社会人が参画するなど、実績につながっている。2019年3月までに20地域100プロジェクトまで拡大する予定だ。

「ふるさと兼業」プロジェクト例

都市部の優秀で、しかもはじめから地方創生に関心を持った人材を獲得できるのであれば、受け入れ側の地域の中小企業にとって、サービス利用の有効性は高い。

また、故郷を離れ都市部で働き、その後、故郷に戻るUターン転職や、 新天地へ移住しその土地で働くIターン転職などの言葉があるように、これまでは、基本的に一つの生活と一つの仕事しか選択できなかった。つまり、都市部でのキャリアを目指せば田舎を去り、田舎に関わりたければ都市部での生活を諦めなければならなかったわけだ。

しかし、ふるさと兼業をはじめとしたサービスが提供する働き方は、都市部と地方の距離を縮め、複数の生活と複数の仕事を実現する。参画する働き手が、故郷の家族を気遣ったり10年後の移住先を考えたりするうえでも大いに役立つ。

企業・働き手、いずれか一方の負担が大きいとどこかで無理が生じるものだが、ふるさと兼業でのマッチングは、サービス側の厚いサポート体制によって両者win-winの均衡を保つことができるだろうか。

時代背景に即したwebサービスをプラットフォームに、都市部、地方を越えた人の循環が活発になっていくことを期待したい。

(文:齋藤玲乃)

 

参照:ふるさと兼業

参照:地域やテーマで選べる兼業マッチングweb「ふるさと兼業」開設 地方の人材不足解決や多様な働き方の推進に貢献(プレスリリース)

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