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新教養主義宣言・第二期がスタートします

The 2nd term will start in April

2021.03.19

Updated by Shigeru Takeda on March 19, 2021, 11:21 am JST

2020年5月にキックオフした「新教養主義宣言」は、2021年4月から内容と形式を大幅にパワーアップして再スタートします。これまでは月1回の単発Webイベントでしたが、4月からは選りすぐりの識者が主宰する6カ月程度続く私塾(オンラインサロン)が複数展開される形式になります。

基本的には月1回のWebセミナー6回(6カ月)開催とそのセミナーの間をつなぐオンラインコミュニティ(注1)で構成され、それぞれのセミナーやサロンには主宰者が招聘するゲストも登場します。価格や回数は、主宰者やテーマによって異なります。

また、その主宰者やゲストが推薦する書籍の購入がコミュニティやセミナー参加の要件となることも増えるはずですが、それらの書籍の中には「この本を読めば教養が身に付く」ことを謳う駄本は一切含まれていないことを保証します。


4月は下記の4名による4つの私塾が開講します(敬称略)。

■村上陽一郎
「専門家とは何か」

災害時・緊急時における「専門家の知」は、重宝されると同時に疑義の眼差しが向けられる対象でもあります。このとき問われているのは「その専門性の真贋を見抜く力」ではなく、私たち一人ひとりが持つ「良識」でしょう。そもそも私たち自身が何らかの専門家である以上、専門家と素人を対立的に捉える構造自体にあまり意味はありません。誰であれ必要なのは「良識」なのです。この良識なる厄介なものは、どうすれば育成することができるのでしょう。2020年11月に実施し好評を博したテーマを6回に拡張し、魅力的なゲストを交えたサロンとして新装開店します。

過去のイベント:https://wirelesswire.jp/2020/11/78056/

■島薗進(上智大学グリーフケア研究所)
「死にゆく人と愛の関係を再構築する技術」

グリーフケアは、心理臨床や精神医療を通じた喪の仕事への対応として行われます。鎌倉時代初期の明恵上人から現代の文芸まで、詩や物語における喪失や悲嘆の表現の中に日本人にとって親しみ深い言葉が数多く発見できます。これらを紹介しつつ「愛の関係の再構築」のための深い悲嘆の表現として捉え直していきます。

島薗氏のTwitter:https://twitter.com/Shimazono?s=20

■野沢正光(野沢正光建築工房)
「ポストコロナ社会における新しい郊外論」

高度成長期に大手デペロッパーにより乱雑に開発された郊外ではなく、地元の工務店の人たちと作る古くて新しいコミュニティとしての郊外が必要です。都心の過密と限界集落の過疎を避ければ、必然的に郊外が残ります。そこでは施主やその家族、そして工務店が一体となって、居心地の良い空間を「経営する感覚」の共有が必須です。先行事例を紹介しつつ、新しいコミュニティとしての郊外を作る方法論を探ります。

野沢正光建築工房:http://noz-bw.com/

■加藤兼司(日立製作所)
「渋沢以外の本当のイノベータたち」

第二次世界大戦の敗戦で国土が荒廃した日本には、「特需が保証されていた」という穿った見方をすることも可能です。そのような「粗悪品でも作れば売れる」時代のイノベーション論が現代に応用可能とは思えません。私たちが本当に参考にすべき本当の日本らしいイノベーションは幕末から明治にかけて行われた、とする文献は多く、渋沢栄一もその一人であることは確かです。しかし、彼以外の数多くのイノベータが活躍していました。そのような先達の具体的なイノベーションについて、毎回1名をクローズアップしてその方法論を深掘りしていきます。まずは、日立製作所を作った小平 浪平(おだいら・なみへい)からスタートです。


また5月からは、

■五十嵐太郎(東北大学)
「新しい生活(衣食住と宗教)は新しい装飾で塗り替えることができる」(仮題)

■松村秀一(東京大学)
「和室とは自然を観察する態度である」

■土屋大洋(慶應義塾大学)
「安全保障と技術」

■大西麻貴(建築家)
「伊東豊雄との対話」

の4塾がスタートする予定です。
詳細は確定し次第ご案内させていただきます。


注1)新教養主義宣言で利用する会議ツールは、ZoomまたはExplain Everything、コミュニティツールは、シンプルなML(メーリングリスト)、Chatwork、Slack、Trello、LINE、Notionのいずれかを想定しています。主宰者によってツールが異なりますのでご注意ください。

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竹田 茂 (たけだ・しげる)

日経BP社の全ての初期ウェブメディアのプロデュース業務・統括業務を経て、2004年にスタイル株式会社を設立。WirelessWire NewsModern Timeslocalknowledgeなどのウェブメディアの発行人兼プロデューサ。理工系大学や国立研究開発法人など、研究開発にフォーカスした団体のウエブサイトの開発・運営も得意とする。早稲田大学大学院国際情報通信研究科非常勤講師(1997-2003年)、情報処理推進機構(IPA)Ai社会実装推進委員、著書に『会社をつくれば自由になれる』(インプレス、2018年) など。