International Telecommunication Union(ITU)は2010年5月25日に、World Telecommunication/ICT Development Report 2010を発表した。このレポートは2003年にジェノバで、そして2005年にチュニスで行われた情報社会に関するサミット(WSIS)で合意された、2015年までに世界の情報社会を作っていこうという過程の中間評価レポートである。ここではその中から地方への普及という目標についての項目である、携帯電話やブロードバンド普及について取り上げた。
全世界では携帯電話の人口カバー率は86%、地方だけでも74%となっている。都市部と地方の格差が小さいのはヨーロッパで1ポイントの差しかないが、最も格差が大きいのはアメリカで20ポイントの差がある。人口カバー率の絶対値が最も低いのはアフリカで全体でも69%、地方では52%にとどまる。
▼図1 2008年末の携帯電話人口カバー率
ヨーロッパは2000年くらいから都市部以外でも携帯電話の人口カバー率は9割前後あった。アフリカは2000年には同1割程度だったが、2008年には52%と上昇率は大きい。
▼図2 地方の携帯電話人口カバー率(2000年から2008年)
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下図は地方における固定電話と携帯電話の世帯普及率を国別に示したものだ。一番右の日本はどちらも高普及率となっている。この図の中にはあまり先進国がないので全世界的な傾向はわからないが、多くの国が固定電話(ブルー)よりも携帯電話(ピンク)の普及の方が進んでいるようだ。特に中南米地域の特徴として、携帯電話は普及しているが、固定電話網は発達していないことがわかる。
▼図3 各国の地方の世帯の固定電話と携帯電話普及率(2007-2008)。*が付いている国は2006年時点。
携帯電話も含めたブロードバンドインターネットアクセスの都市部と地方の普及率を示したのが下図だ。韓国や日本では地域格差は10ポイント程度とそれ程大きくはないが、先進国ではカナダの格差は大きい。発展途上国も概ね格差は大きいことが見て取れる。
▼図4 各国の都市部と地方のブロードバンド普及率(2007-2008)。*が付いている国は2006年時点。ブロードバンドは無線と有線とどちらも含む
【情報ソース】
International Telecommunication Union(ITU)のWorld Telecommunication/ICT Development Report 2010
・ITU calls for broadband Internet access for half the world's population by 2015
・World Telecommunication/ICT Development Report 2010(PDF)
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