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[2012年第37週]iPhone 5狂騒曲、LTEサービス続々、iPhoneに明け暮れた1週間

2012.09.18

Updated by Naohisa Iwamoto on September 18, 2012, 12:00 pm JST

第37週は、なにはともあれiPhone 5の発表が最大のトピックだった。USでの発表に引き続き国内で発表、そして予約受付開始へとなだれ込んだ。さらに、ソフトバンクモバイルとKDDIは、iPhone 5の発売に合わせてLTEサービスを開始すると発表した。一連の動きが集中したところ、予約の受付時間になっても料金やプランなどが公式に発表されていないという前代未聞の状況が引き起こされた。ユーザーだけでなくキャリアーまでもが端末1台に振り回されている異常事態が浮き彫りになった。

画面が大きくなったiPhone 5

アップルの新しいスマートフォンiPhone 5が、米国時間9月12日に公式発表された。発売は9月21日である。前回のiPhone 4Sの発表イベントが行われたのが2011年10月5日(日本時間)、発売が10月14日だったので、今回は1年を切っての新製品登場となる。合わせて、第7世代iPod nano、第5世代目iPod touch、そして新しいイヤホンEarPodsが発表された
iPhone 5の最大の進化点は、ディスプレイサイズが大きくなったことだろう。4インチ、1136×640ピクセル、16:9という数字だが、ちょうどアプリが1列多く並ぶ分だけ縦長になった。Androidスマートフォンが軒並み4.5インチや5インチといった大型ディスプレイを搭載する中、いかにiPhoneといえどもスマホ最小クラスの3.5インチの画面を使い続けわけには行かなかった(関連記事:縦長ワイドスクリーンでLTE対応のiPhone 5が登場。予約は明日開始!

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日本時間9月13日には国内でアップルの製品発表会が開催された。iPhone 5をはじめ、第7世代iPod nano、第5世代iPod touch、そしてiOS6、iTunesなどの発表が行われた。iOS6に関してはすでに今年の6月12日に発表があり、そこからの大きな変更は見られなかった。ブラウザSafariのフルスクリーン対応や、メールへのフラグやVIP機能の追加などだ。iPhoneで様々なショップのクレジット機能を個別に管理できる「パスブック」が国内で使えるようになるとのことで、これは朗報だ(関連記事:iOS 6のパスブックは日本でも利用可能に、iPod nanoは動画再生機能が復活

iPhoneを国内で提供しているキャリアーの正式発表は後手に回った。すでにさまざまな情報が飛び交っている9月13日の16時を過ぎてようやく、ソフトバンクモバイルがiPhone 5」の予約受付と販売について発表した。国内での予約受付は翌9月14日の16時に開始し、発売は9月21日となるとのアナウンスだ。遅れること2時間余、KDDIも9月14日16時からの予約受付と9月21日の発売を発表した(関連記事:ソフトバンク、9月14日16時から「iPhone 5」の予約受付を開始 (追記あり)

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iPhone発売を契機に一気にLTEサービスが出そろう

そのiPhone 5、通信機能としてはLTEにも対応している。これを受けて国内でiPhoneを提供するソフトバンクモバイルとKDDIは相次いでLTEサービスの開始を発表した。いずれもiPhone 5発売の9月21日にサービスを開始するという念の入れようだ。

まずKDDIのLTEサービスは「4G LTE」。元々は2012年中のサービス開始を予定していたのだが、これを大幅に前倒ししてサービスを開始する。4G LTEは2.1GHz帯、1.5GHz帯、800MHz帯の3つの周波数帯でサービスを提供する計画で、このうちiPhone 5が対応する2.1GHz帯のサービスを先行する。サービス開始当初のエリアは、「政令指定都市はカバーしており、現在急速に基地局を展開中」(KDDI)とのこと。また、速度についても、当初は下り37.5Mbpsでの提供となるエリアも相当にあるが、順次下り75Mbps対応に切り替えていく(関連記事:KDDI、9月21日より「4G LTE」サービスを提供開始(追記あり)

一方、ソフトバンクモバイルは「SoftBank 4G LTE」の名称でサービスを提供する。サービスエリアとしては2012年度末に政令指定都市100%カバーを目指す。一部のエリアで下り最大75Mbps、その他のエリアでは同37.5Mbpsの高速データ通信サービスを提供する(関連記事:ソフトバンク、「SoftBank 4G LTE」を9月21日開始

iPhone 5は、端末そのものと対応するLTEサービスが一気に出揃った。一見、販売やサービス提供の条件が横並びに感じるKDDIとソフトバンクモバイルだが、細かく見ていくとそれぞれの思惑が見えてくる。特に、テザリングの扱いや高速データ通信できる上限の有無に、「攻めのau」「守りのSBM」という両社の立場の違いが見えてくるようだ(関連記事:auとソフトバンクのiPhone 5の支払金額を比較する

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スマホでエアコンONはダメ?! ドコモもスマホでカード決済提供

iPhone 5以外にもニュースはあった。主だったものを確認しておこう。

まず、鳴り物入りで発表した機能を削除するという残念なニュースから。パナソニック アプライアンスマーケティング ジャパン本部は、8月21日に発表したルームエアコン新製品の「Xシリーズ」から、スマートフォンアプリで「運転オン」にできる機能を削除すると発表した。経済産業省の電気用品安全法 技術基準への適合に課題があると判断したため。製品発表時には、スマートフォンによる遠隔操作や省エネへの対策を最大の特徴としていた(関連記事:パナソニック、スマホ対応エアコンの「運転オン」機能を削除

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NTTドコモがスマートフォンを利用したクレジットカード決済ソリューションの推進に乗り出す。NTTドコモとリンク・プロセシングが決済ソリューションを協力して販売・推進していくというもの。両者は資本提携の合意もしており、スマートフォンやタブレット端末を活用した決済を推進していく。新ソリューションでは、NTTドコモのAndroid搭載スマートフォンやタブレット端末を利用して、クレジットカード決済やポイントカード、プリペイドカードなどの決済、領収書発行などが可能になる(関連記事:ドコモとリンク・プロセシング、スマホ利用のクレジット決済ソリューションを共同展開

LTEには負けられない...。ソフトバンクグループのWireless City Planning(以下WCP)は、総務大臣に認定を受けたAXGP基地局の今年度末計画数1万2693局を、9月6日に前倒しで達成した。計画よりも半年以上前倒しでの達成となる。カバーエリアは2012年8月末時点で、全国502市区町村。2012年度末には全国政令指定都市の人口カバー率を100%とする計画だ。WCPはエンドユーザーに対して直接サービス提供はせず、現在は、ソフトバンクモバイルがMVNOとして「ソフトバンク 4G」を提供している(関連記事:Wireless City Planning、AXGP基地局の今年度末計画数を前倒しで達成

効率のよい情報提供を目指して。大日本印刷(DNP)は施設や店舗など特定のエリアに来た人々に対して電子コンテンツを配信するサービス「チェックインマガジン」の提供を開始する。エリアを限定して、その場に適したコンテンツを提供する。コンテンツとしては電子雑誌を想定するほか、施設や店舗などのクーポンを配信することもできる(関連記事:DNP、エリア限定でスマホなどにコンテンツを配信する「チェックインマガジン」

昨年の第37週のできごと

・ソニーグループが示す存在感
・サービスの充実を図るキャリアー
・インターナショナルに羽ばたく
・「みちびき」で測位の実験、ARのクラウドサービス

[2011年第37週]法人満足度はドコモ、Xperia PLAY発進、acroとEVO WiMAXがEZwebのメールに対応

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。