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[2013年第6週]ドコモ契約者数が乱高下、起業支援、NFCトライアルが続々

2013.02.12

Updated by Naohisa Iwamoto on February 12, 2013, 12:00 pm JST

毎月恒例の事業者別契約数が電気通信事業者協会(TCA)から発表された。2013年1月末の携帯電話事業者別の純増数を見ると、NTTドコモが1万2900件の純減、KDDIは16万7500件の純増、ソフトバンクモバイルは24万1600件の純増だった。NTTドコモは2012年11月末に4万件を超える純減に転落したが、12月末には冬モデルの販売の伸びなどで23万5100件の純増へと返り咲いていた。しかし、その好調は1カ月しか持たず、1月末には再度純減に落ち込んだ。月替りで純増と純減で乱高下する様相を呈してきている(関連記事:1月の携帯電話契約数、再びドコモが純減に転落)。

キャリアが起業支援に本腰

通信キャリアによる起業支援に向けた動きが活発になってきている。前週にはKDDIのKDDI ∞ Labo [ムゲンラボ]の第4期キックオフミーティングが開かれ、3期の成果と今後への取り組みが示された。

引き続きこの週はNTTドコモが、ファンド運営会社「ドコモ・イノベーションベンチャーズ」およびコーポレートベンチャーファンド「ドコモ・イノベーションファンド」の設立を発表している。また同時に、起業支援プログラム「ドコモ・イノベーションビレッジ」を開始し、第1回プログラム参加チームの募集を開始することもアナウンスした。NTTドコモは今回の取り組みの目的として、日本におけるベンチャー企業育成のエコシステムへの貢献の側面を強調している(関連記事:ドコモがモバイルベンチャー支援に本腰 500 Startupsとの事業提携も)。

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KDDIは、KDDI ∞ Laboの取り組みとは異なる起業支援策も手がける。KDDIがプロジェクトニッポンと共同で提供する、起業・経営支援サービス「SmaBI」がそれだ。SmaBIはプロジェクトニッポンが運営する日本最大の起業支援プラットフォーム「DREAMGATE」のノウハウを活用して提供する、起業に関するトータルサポートサービス。会社設立時の定款から社員の入社・退社時などの法的書類をまとめて自動的に作成できる「法的書類生成ツール」や、オンライン上の経営顧問サービス「社長参謀」などがある。KDDIのサービスを利用すると上記のようなサービスが無料で利用できる特典もある(報道発表資料:起業・経営支援サービス「SmaBI (スマビ)」の提供開始について)。

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NFCを活用したサービスの試行が続々

非接触型通信技術であるNFCを使ったサービスへの取り組みが始まった。サンシャイン水族館は、スマートフォンに水族館の魚の情報を取り込んでSNSと連携して楽しめるサービスを2013年4月7日まで実施する。ブリリアントサービスと個人デザイナー秋葉秀樹が企画開発した水族館向けO2Oマーケティング向けのスマートフォンアプリ「Ikesu」を利用する。「Ikesu」は、水族館の水槽脇に設置した魚名板に取り付けられたNFCタグやQRコードを利用して、魚の情報をスマートフォンに取り込み、オリジナル水槽や魚類図鑑として楽しめる。水槽の様子はFacebookで友人とシェアをして楽しむことも可能だ。
(報道発表資料:スマートフォンの中にオリジナルの魚図鑑や水槽が作れる展示サービスをサンシャイン水族館で実施)。

「Ikesu」アプリ
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また、ユーシーテクノロジ、KDDI、ぐるなび 、サイファは、2013年3月31日までの間、銀座エリアの店舗を対象に、スマートフォンとNFCを使ったクーポンの利用促進・利用実態把握の実証実験を行う。「ココシル銀座 タッチ de クーポン」の名称で、ぐるなびの加盟飲食店やサイファが運営する「クーポンランド」の広告掲載店舗などが提供するクーポンを利用して、各種サービスを提供する。具体的には、街路灯に設置したucode NFCを読み取ると、現在地に近い店舗のリストが表示される。店舗では専用のタグスタンド「ココシルタグ」にタッチすることでクーポンを利用できる(報道発表資料:スマートフォンとNFCを活用したクーポンサービス実験を銀座で実施)。

ココシル銀座
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NFCは、国内で「おサイフケータイ」に使われているFeliCaと同様にタッチするだけで情報のやり取りが出来る無線通信技術。国際的に主流な技術で、国内向けのスマートフォンでも搭載機種が急速に増えている。こうした取り組みが広がることで、NFCを活用したサービスやソリューションが今後は登場してきそうだ。

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「LINE」を社名に、動画圧縮の新方式をドコモがライセンス

その他、この週にあったトピックを紹介していく。

NHN Japanは、同社の会社分割と社名変更を検討していると発表した。ゲーム事業とWebサービス事業で会社を分割し、ゲーム事業は「Hangame」、Webサービス事業は「LINE」(いずれも仮称)が担当する。世界規模でパソコンやフィーチャーフォンからスマートフォンへとデバイスのシフトが進む中、事業環境の変化にスピーディーに対応するために、今回の会社分割を検討しているという(関連記事:LINEのNHN Japan、「LINE」と「Hangame」に会社分割を検討)。

NTTドコモは、国際標準規格の新しい動画圧縮方式「HEVC」で圧縮した動画を復号するためのソフトを、国内外の事業者向けに2013年3月中にライセンス提供する。HEVC(High Efficiency Video Coding)は、ITU-TおよびISO/IECの標準化団体がそれぞれH.265、23008-2として2013年1月25日に承認した新しい国際標準規格。現在広く使われているMPEG-4 AVCと比較して同じ品質の動画を約半分のデータ量に圧縮できる。スマートフォンでのフルHD動画の再生に対応し、動画サービスの高画質化やネットワーク負荷の軽減につなげたい考えだ(関連記事:ドコモ、従来の半分に動画データを圧縮できる「HEVC」復号ソフトをライセンス提供)。

スマートフォンでも詐欺に注意! ソフトバンクグループのBBソフトサービスが発表したインターネット詐欺リポートで、スマートフォンがネット詐欺の脅威に直面していることがわかった。1月度のリポートで注意を喚起しているのがアドネットワークを使ったネット詐欺サイトへの誘導。これは一般サイトに表示されたアドネットワーク経由の広告をクリックすると、ネット詐欺サイトに誘導されてしまうもので、パソコンなどからスマートフォンにも広がってきた(関連記事:アドネットワークを用いたネット詐欺がスマホでも見つかる--BBソフトサービス調べ)。

東京メトロのエリア化が着々と進展中。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・アクセスの4社は、東京メトロの有楽町線の一部区間を新たに携帯電話のサービスエリアとするなど、エリア拡大を発表した。サービスは2013年2月7日正午から提供が始まっている。携帯電話サービスが利用できるようになった路線・区間は、東西線(中野駅〜九段下駅)、千代田線(二重橋前駅〜霞ケ関駅)、有楽町線(江戸川橋駅〜新木場駅)。2012年度中の全線エリア化を前に、利用できる区間が充実してきた(報道発表資料:東京メトロ一部路線における携帯電話のサービスエリア拡大について)。

東日本大震災への継続的な支援策について、ソフトバンクモバイルとソフトバンクBBが発表している。1つは、両社が提供している「チャリティホワイト」の申し込み件数が、100万件を突破したこと。チャリティホワイトで集めた寄付金額は、ソフトバンクモバイルとソフトバンクBBが拠出した金額と合わせて1億923万680円。2013年2月8日時点で、6019万4924円を中央共同募金会とあしなが育英会に寄付しているという。もう1つは、「チャリティホワイト」公式Facebookページの「いいね!」の数に、10円をかけた金額をソフトバンクグループが拠出する新プロジェクトも開始し、ソフトバンクユーザー以外のチャリティへの参加の道を開く(関連記事:ソフトバンクの「チャリティホワイト」が100万件突破、新プロジェクトも開始)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。