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[2016年第31週]製造業IoT「FIELD system」年内運用開始へ、ポケモンGO旋風が吹けば充電器が儲かる?
2016.08.01
Updated by Naohisa Iwamoto on August 1, 2016, 13:41 pm JST
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2016.08.01
Updated by Naohisa Iwamoto on August 1, 2016, 13:41 pm JST
ようやく関東地方でも梅雨明けが宣言されたこの週、夏も本番ながらIoT、AI、訪日外国人対応、新端末発表、そしてポケモンGO関連の話題など盛りだくさんのニュースがあった一週間だった。
まず製造業向けのIoTプラットフォームのニュースから。ファナック、日本電信電話(NTT)、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)、NTTデータの4社は、シスコなどと開発を進めている「FIELD system」の早期確立とサービス運用開始に向け協業を行っていく。
「FIELD system」は、「FANUC Intelligent Edge Link&Drive system」の略で、製造業の現場で使用される各種機器をネットワークで接続できるオープンプラットフォーム。人工知能やエッジコンピューティングを組み合わせることで分散型機械学習を可能にする。データのリアルタイム処理による機械間協調の実現と、また集めたビッグデータの解析による工場内の課題解決が狙いで、協業により年内にも運用を開始する(関連記事:ファナックとNTTグループ3社が協業、製造業向けIoT活用プラットフォーム「FIELD system」は年内に運用開始)。
自動車とIoTの関係についてもビジネスを開発する動きがあった。モビリティIoTのベンチャー企業であるグローバルモビリティサービスと国内大手オートリース会社の住友三井オートサービスは、業務提携契約を締結して自動車IoTのサービス創出を目指す。業務提携により、GMSが開発したIoT端末「MCCS」(Mobility-Cloud Connecting System)を活用し、国内外のオートリース市場に向けて新しいオートリースサービスを共同で検討し、提供を推進していく。第一弾として、国内信販大手のセディナ向けに、個人層をターゲットとしたサービスを提供する計画だ(報道発表資料:モビリティIoTベンチャーのGMSと国内大手オートリース会社である住友三井オートサービスが、自動車IoT分野のサービス創出に向け業務提携)。
AIとロボットの活用の動きもあった。NTTグループの6社は、共同でNTTグループのAI関連技術「corevo」(コレボ)を使った実証実験を開始する。実証実験では、コミュニケーションロボットを中心としたデバイス連携サービスを普及させ、「社会的課題の克服」や「産業競争力の強化」に取り組む。NTTグループ各社がパートナー企業とともにコミュニケーションロボットを中心としたデバイス連携サービスとして利用する実証実験を行う(関連記事:NTTグループ、AI技術をクラウド上に実装して地域振興や介護など合同実証実験を開始)。
MVNOの動きも相変わらず活発だ。まず訪日外国人対応の動きから。ケイ・オプティコムと京阪ザ・ストアは、ケイ・オプティコムが提供する携帯電話サービス「mineo」の訪日外国人向けプリペイドSIM「Prepaid SIM for Japan Travel」を、京阪沿線のコンビニエンスストア「アンスリー」の一部の店舗で発売する。販売するのは最も人気の高いデータ容量「無制限」最大6日コースで、価格は2800円。販売店舗は、訪日客が多い「出町柳」「三条」「祇園四条」「京橋」「天満橋」「地下鉄淀屋橋」「地下鉄新大阪」の7店舗でスタートし、順次拡大を検討するという(報道発表資料:携帯電話サービス「mineo(マイネオ)」コンビニでの訪日外国人向けSIMの販売開始について)。
U-NEXTは2つの訪日外国人対応のニュースを発表している。1つは、ジェイアール西日本フードサービスネットが行う山陽新幹線での車内販売において、訪日観光客向けにU-NEXTが提供するモバイル通信サービス「U-mobile」のプリペイド式サービス「U-mobile プリペイド」の販売を8月1日に開始するというもの。山陽新幹線(新大阪〜博多間)の車内販売営業列車全てが対象となる(報道発表資料:「U-mobile」 プリペイド式データSIMカード 山陽新幹線車内で販売開始)。
もう1つは、U-NEXTが佐賀県観光連盟と共同で実施するもので、九州佐賀国際空港に自動販売機を設置し「U-mobile プリペイド」の販売を行うもの。訪日客向けの自動販売機を空港に設置することで、インバウンド市場への販売を強化していく考えだ(報道発表資料:U-NEXTと佐賀県観光連盟がコラボレーションしたプリペイドSIM自動販売機を九州佐賀国際空港到着ロビーに設置 訪日外国人旅行者向けに「U-mobileプリペイド」の販売開始)。
MVNOの新しい端末補償サービスのニュースもあった。ビッグローブは、モバイル通信サービス「BIGLOBE SIM」に「BIGLOBE SIM端末保証サービス」を追加した。最大の特徴は、ビッグローブで購入した端末だけでなく、他社で購入した端末も保証の対象となることだ。月額500円で提供するもので、BIGLOBE SIMで利用しているスマートフォンやタブレット端末が補償の対象となる(関連記事:ビッグローブ、他社購入端末もカバーする「BIGLOBE SIM端末保証サービス」を月額500円で)。
安全性を高めたモバイル専用線が警察に採用されるというニュースもあった。日本通信は、各都道府県警察に向けて、SIM認証による二点間のモバイル専用線接続の通信を提供開始したと発表した。警察での利用について詳細は明らかにできないとするが、セキュアで信頼できるモバイル通信のインフラとして同社のモバイル専用線が評価されたという(関連記事:日本通信、都道府県警察にセキュアなモバイル専用線を提供開始)。
コンシューマー系のニュースも多かった。KDDはシニア向けを想定して使いやすさを追求したスマートフォン「BASIO2」、ケータイ「かんたんケータイ」を発表した。「BASIO2」は、簡単にカメラの起動ができる「カメラスライドカバー」や、文字入力に関するヒントを画面上に表示する「文字入力アシスト機能」などを搭載することで、スマートフォンに興味があるが難しそうと考える利用者層に訴求する。また「BASIO2」を操作すると設定したアドレスに1日1回のメールを送信する「おはようメール」を搭載し、遠くにいる家族に「おはよう」を伝えて見守りの一環とすることもできる(報道発表資料:『選べて、イイコト』電話・メール・カメラの「使いやすさ」をとことん追求! 簡単にカメラの起動ができる「カメラスライドカバー」や、「文字入力アシスト機能」を搭載した「BASIO2」を発売!)。
もう1つが、従来機の「簡単ケータイ K012」よりも大きいキーを搭載し、聞きやすさ・見やすさ・押しやすさを追求した「かんたんケータイ」。高音質通話の「au VoLTE」と、京セラ独自機能の「スマートソニックレシーバー」に対応し、相手の声を聞き取りやすくした。また「やわらかく」「はっきりと」「おさえめに」といった好みの音質に調整できる「聞こえ調整」を搭載した(報道発表資料:『選べて、イイコト』auかんたんケータイ初! au VoLTE対応で 相手の声がはっきり聞こえる「かんたんケータイ」を発売!)。
ポケモンGOのトピックも引き続きあった。日本でも提供が始まった「ポケモンGO」は、認一気に認知やプレイ経験を高めていることがMMD研究所の調査でわかった。調査は、2016年7月25日から26日にかけて実施し、15歳から69歳の男女1949人から有効回答を得た。「ポケモンGO」の認知率は92.6%と非常に高いスコアとなり、1つのスマートフォン向けのゲームというよりも社会現象として捉えられている。さらに、「ポケモンGO」を認知していて、スマートフォンを利用している回答者のうち、39.0%が「ダウンロードしてプレイしたことがある」と回答した(関連記事:スマホ所有者の4割がすでにプレイ経験、ポケモンGOの利用実態をMMD研究所が調査)
ポケモンGOの動向は、スマートフォンアクセサリーの販売にも影響を及ぼしているようだ。GfK ジャパンが発表した家電量販店のスマートフォンアクセサリーの販売動向では、上半期のスマートフォンアクセサリー販売は数量ベースでは前年比1%減、金額では同8%増だった。その中で、縮小基調にあった充電器の販売が、ポケモンGOの配信開始週には、数量で前年1.6倍、金額で前年の1.9倍へと急伸した。ポケモンGOの利用による「充電器特需」が起こったとみられる(報道発表資料:「スマートフォンアクセサリーの販売動向」)
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