WirelessWire News Technology to implement the future

by Category

Archives

  • スーパー書評「教義の基本を為す聖典」
     『創世記』関根正雄訳 岩波文庫

    2025.08.18

    世界宗教と言われるユダヤ教、イスラム教、キリスト教が支配する地域において、信じる、信じないに関わらず、文化的伝統として誰もが前提としているこの物語を知ることは、それらの地域に生まれた文化遺産を理解する上で、決定的に重要なポイントとなる。その点で、宗教を離れても、文化の基盤となるエピソードが、様々に散りばめられている本書に接しておくことは、無駄ではない。

  • 自らの感覚世界すらも、資本主義システムの下で成り立っている

    2025.08.18

    ここで重要なのは、私たちの体験や世界を作り出しているようにみえる様々な人・モノ・技術などは対等に並んでいるわけではないということだ。人と人との関係、多くの人が無自覚のうちに社会に浸透するAIなど、そこにはアンバランスな力関係が見えないところに存在していることも多い。同時に、こうして作られる感覚体験や感覚世界、身体は、資本主義システムの下で成り立っており、AI技術の開発を含めて、それらが構築される過程は概して政治的であるということも忘れてはならないだろう。

  • スーパー書評「私学と平等への想い」
    『学問のすすめ』福沢諭吉(岩波文庫)

    2025.08.13

    書物『学問のすすめ』は、冒頭の最も著名な「初編」に始まり、第十七編「人望論」までを合本とし、さらに現在の岩波文庫本は、広く読者を獲得したこの自著に対して、後年福澤が書いた短い文章(『福澤全集』に収録)を「付録」として加え、小泉信三の「解題」、さらに校訂者としての昆野和七の「後記」を載せている。

  • 「測定」には隠れた仮定が存在する

    2025.08.13

    データは、日常に得られる感覚データであれ、メディアでは信憑のシンボルとされることのある測定データであれ、そのデータを読み込むときの仮定や科学理論を知らなければ、適切に事実を判断することができない。

  • GPT-5は本当に求められていたものなのか?

    2025.08.11

    満を持して発表されたGPT-5に対し、「GPT-4o返して運動」が巻き起こっているらしい。 確かに、GPT-5はベンチマーク上は高性能なのかもしれない。 しかし、実際に使ってみると、言われているほど高性能とも思えない。 […]

  • 連続起業家が見たNetflixの起業家ドラマ

    2025.08.04

    テレビドラマのカメラマンをやっている友人から、「面白いから是非見てよ」と言われたNetflixのテレビドラマがある。 タイで制作された作品で、日本語タイトルは「マッド・ユニコーン」 タイに実在する、タイ初のユニコーン企業 […]

  • 理想的な共同体と相対する者は、しばしば強烈に魅力的である

    2025.07.22

    高畑勲監督作品『太陽の王子ホルスの大冒険』(1968年)は、アイヌの伝承をモチーフにした長編アニメーションである。宮崎駿が初めて本格的に製作に関わった作品でもあった。興行成績は振るわなかったものの、自主上映会を通してアニメーターやファンの間で知られるようになった。

  • 「AIファースト」と「人間ファースト」は両立しうるか?

    2025.07.15

    AIが我々の仕事の存在自体に現実的に影響を既に及ぼしているのは確かです。今月、ニューヨーク・タイムズ紙に掲載された「就職面接にようこそ。面接官はAIです」は、AIが採用の現場で面接官を務めているのを取材した記事ですが、「人工知能があなたの仕事を奪いに来ると思ってました? まずは面接官の置き換えからです」という副題がなかなか奮っています。