誰でもAndroidアプリを作成可能に - グーグル、「App Inventor」を発表
2010.07.13
Updated by WirelessWire News編集部 on July 13, 2010, 15:08 pm JST
2010.07.13
Updated by WirelessWire News編集部 on July 13, 2010, 15:08 pm JST
グーグル(Google)は米国時間12日、Androidユーザーが自分でアプリを手作りできるプラットフォーム「App Inventor for Android」を発表した。このツールにはあらかじめさまざまなブロック(モジュール)が用意されており、それらを組み合わせることで、プログラミング知識のない人間でも簡単にAndroidアプリがつくれるようになるという。
このプロジェクトを率いるハロルド・アベルソン(Harold Abelson)氏は、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者で、これまでにフリー・ソフトウェア・ファウンデーション(Free Software Foundation)やクリエイティブ・コモンズ(Creative Commons)といった非営利組織の創設に関わって来た人物。MITでは、授業で用いた教材をネット上に無料で開放し、ユーザーが自由に学習できる「オープンコースウェア」(OpenCourseWare)プログラムの立ち上げにも関わった経験を持つ。同氏は、サバティカル期間を利用して、グーグルでApp Inventorプロジェクトを続けてきたという。
App Inventorは、コードをモジュール化した「ブロック」をドラッグ&ドロップして組み合わせることで、Android OSを搭載する端末用のアプリケーションをつくることができる。New York Timesによると、同ツールのユーザーテストには、小学6年生や女子高生、看護学校の生徒、大学学部生などさまざまなグループが参加したが、なかには15分程度でひとつのアプリケーションを作り出した例もあるという。また、ある看護学生は、Android端末に搭載されるアクセレロメーターの機能を利用して、端末ユーザーが倒れると、自動的に緊急メッセージが送信されるアプリを開発したという。
App Inventorを利用するには、パソコン、Android端末とGmailアカウントが必要で、ウェブページ上でできあがったアプリケーションは端末にUSB経由でダウンロードして利用する。
Androidプラットフォームは現在、アプリ開発者からの支持が急速に拡大しているが、それでもライバルとなるアップル(Apple)のiOSに比べて、アプリの数では約3分の1程度。グーグルとしては、App Inventorを公開してアプリ開発の敷居をいっきに引き下げることで、流通するアプリの数でiOSとの差を縮めたい考えがあるとみられるが、同時に「自分が必要とするアプリを自分でつくれ、他のユーザーへも自由に公開できる」ツールと仕組みを一般ユーザーに向けて提供することは、AndroidのエコシステムにiOSのそれとは質的に異なる要素を持ち込むことにつながる可能性がある。この戦略がどこまでAndroidを核とするエコシステムの拡大に役立つのかは今後の成り行きをみる必要があるが、非常に興味深いグーグルの動きであることに間違いはない。
【参照情報】
・App Inventor for Android - 開発者ブログ
・Google's Do-It-Yourself App Creation Software - New York Times
・It's Alive! Taking Android's App Inventor For A Spin - TechCrunch
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