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キャラ弁と過労死の関係

The relation of Kyaraben and Karoshi

2015.05.22

Updated by Mayumi Tanimoto on May 22, 2015, 21:52 pm JST

内閣府がやっている働く女性応援会議なるブログが案の定プチ炎上しています。

お子様のために作ったキャラ弁をブログで発信し、キャラ弁講師やレシピ本の執筆をされている岩田恵子さんを紹介する「キャラ弁にこめる思いとキャラ弁から私が得たもの」という記事がネタです。ツイッターで拡散し、外務省柔らかツイートという、黄金の三角連携プレイで、燃料を撒き散らしてしまい、白髪を振り乱してイオンの裏で惣菜を詰めている鬼女の目に止まってしまったため、どんどん燃料をくべているという状況になっております。

【女性応援ブログ】朝起きるのが辛い日も作るのが億劫な日もある。それでもmomoさんが毎日早起きをしてキャラ弁を作れる理由とは?

赤子に鼻の穴に柿の種梅味を詰められて、取り出しに苦心しておりましたが、この炎上に気がつき、燃えろ燃えろと祈祷しているところです。

ところで、ここイギリスでは、日本のBentoというのは、ごく一部の日本ヲタには知られていますが、ほとんどの一般の人には知られていません。キャラ弁も知っているわけありません。そもそもここの弁当というのは、以下のようなパターンです

パンにチーズとハムを挟む。もしくはツナなどを挟む。ビニール袋に入れる。カバンに入れる

スープジャーに昨日の残りのスープを詰める。カバンに入れる。

タッパに昨日の残りのスパゲティとかマカロニとかパイを詰める。カバンに入れる

パンにジャムを塗ってタッパに詰める。ついでに果物丸ごととチーズを入れる。カバンに入れる

終わりです。

なんでこんなに簡素かというと、面倒臭いからです。そもそもあんまり食べることに興味がありません。

ちなみに弁当を一切作らない妻も大勢います。妻はゴジラ並みに強いので夫は自分でパンに何か塗って持っていくのが当たり前です。子供の弁当も父ちゃんが作ることも結構あります。スーパに行くと、弁当に入れるための小分けになったチーズ、小分けになったヨーグルト、小さなリンゴ、フルーツのペーストのチューブが売っています。子供用ですが、チーズは本格的なチェダーだったり、ヨーグルトもオーガニックのギリシャヨーグルトなどがあるので、ワタクシも時々買っています。小分けになっているので衛生的で良いし、値段も安いし、出かけるときに持っていくのに便利です。果物は切らないので食中毒の心配がありません。

そもそもここの人達は、昼食は同僚と食べる習慣はあまりありません。仕事の合間に机の上でささっと食べて、定時に家に帰る、という人がほとんとです。同僚と馴れ合わないからさっさと家に帰れるわけです。自分の仕事が終わったら、はいさようならです。食べることに興味があまりないので、同僚も同級生も、お前の弁当はどうだとか、いちいち見に来たりとかということはありません。

イタリア、フランス、ドイツ、スペインの場合も弁当は簡素です。学校や会社には食堂があって、あったかいものを食べることも多いです。昼食がその日のメインの食事という場合もあります。イタリアやフランスの社食の食事はかなり本格的だったりします。職場によりますけど、シェフがいてステーキを焼いてくれたりとか。学校の給食でも、イタリアの場合、給食室があって、小学校でも3コースちゃんと出てきたりします。フランスの場合、保育園でもコースで食べるのを指導するところもあります。いずれにしろ、家庭の負担は小さいです。

弁当作りが楽なので、夫も妻も家の中の仕事が減ります。仕事が減るので子供と話す時間が増えます。仕事は5時で終わるし、明日の弁当の用意も2分で終わるので、妻も夫も会社から帰って、近所を散歩したり庭をいじったり、近所のバドミントンクラブでちょっと遊んだりする時間があります。妻は美容に費やす時間があります。夫も妻もユルユルしているので、子供もユルユルしています。体型もユルユルしているんですけど、まあそこはご愛嬌でしょう。

キャラ弁みたいな豪勢なものはないし、そんなものを作れる技能がある妻もいないし、作ってブログで見せびらかすという暇な妻もいないんですが、過労死はないんです。

 

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。