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[2015年第33〜34週]フランスブランドの最新SIMフリースマホ、KDDIと増進会がICT教育推進

Weekly Report: Week 33 - 34 2015

2015.08.25

Updated by Naohisa Iwamoto on August 25, 2015, 14:30 pm JST

お盆期間を挟んだ2週間だが、様々なニュースが飛び交った。SIMフリースマホや格安スマホの話題は継続して多く、新端末や新サービスの発表が相次いだ。教育や子どもとICTの関わりを変化させるようなニュース、IoTの新しい試みなどのトピックもあった。

ALCATEL ONETOUCHから新型スマホ、mineoにドコモプラン

SIMフリースマホの話題から。フランスのスマートフォンブランドである「ALCATEL ONETOUCH」(アルカテル ワンタッチ)は、SIMフリースマートフォンの新製品「ALCATEL ONETOUCH IDOL 3」の国内の提供を8月28日に開始する。「ALCATEL ONETOUCH IDOL 3」は、上下を気にせず使える業界初のリバーシブル仕様を採用したほか、JBLのクラリファイ圧縮音楽テクノロジーの搭載やデュアルフロントスピーカーによる高いサウンド品質も提供する。国内での販売価格は4万2800円(税抜き)(情報サイト:ALCATEL ONETOUCH)。

ケイ・オプティコムの新サービスの詳細が明らかになった。同社は、いわゆる「格安SIM」サービスの「mineo」に、NTTドコモの回線を利用するプランを追加する。従来のプランを「auプラン(Aプラン)」とし、新しく「ドコモプラン(Dプラン)」を加える形だ。ドコモプランの料金は、データ通信のみのシングルタイプで高速通信が月間500GBまでのプランが月額700円から。

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このほか、海外渡航者向けのプリペイドSIM、訪日客向けのプリペイドSIMといった新サービスを追加提供することもアナウンスした(関連記事:「mineo」、ドコモプランを月額700円から提供、海外用プリペイドSIMなども提供へ)。

また、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は、子どもが利用するスマートフォンなどのセキュリティを確保するための「ペアレンタルコントロール」機能の提供を開始した。格安スマホでもセキュリティーを確保して子どもに使わせたい保護者などに向ける。セキュリティサービス「マイセキュア」の機能を強化して提供するもの。月額250円から利用できる(関連記事:格安スマホでも「ペアレンタルコントロール」が可能に、NTT Comがサービス提供)。

KDDIと増進会が提携、ドコモは「gacco」運営会社を傘下に

教育関連の話題も相次いだ。KDDI、KDDI研究所、増進会出版社の3社は、学校での教師の指導と生徒の学びを支援するため、ICTを活用した教育サービスを提供することで業務提携契約を締結した。2015年度中に文教市場に向けて教育サービスを提案・販売する。今後、加速が予測される私立校のICT活用に向けて、増進会出版社のグループ会社であるZ会の販売チャネルを通して、私立中学・高校に提案・販売を始める(報道発表資料:<KDDIグループ×Z会・栄光グループ> ICTを活用した学校教育サービスの提供を2015年度中に開始)。

NTTドコモは、学習サービス事業の推進を図るために子会社の「ドコモgacco」を設立する。NTTドコモと共同でgaccoを運営してきたNTTナレッジ・スクゥエアをドコモが子会社化し、改称するもの。大規模公開オンライン講座(MOOC)サービスの「gacco」の運営やgaccoシステムのASP販売に加えて、gaccoの講座の企業研修向けの提供など新しい展開も見据える(関連記事:ドコモ、MOOCなどの学習サービス事業会社「ドコモgacco」を設立)。

子どもの携帯電話利用状況の調査結果では、小学生でも高学年になると携帯電話の所有が半数近くになるという数値が発表された。MMD研究所が、小学生の子どもがいる母親を対象にした「小学生の携帯電話に関する調査」の結果だ。小学生の携帯電話所有率を見ると、小学1年生では11.2%だが学年を追うごとに所有率は高まり、5年生の
は41.4%、6年生は41.0%と高学年では4割を超える生徒が携帯電話を持っていることがわかった。

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このほか、月額利用料金や、今後の格安スマホ/格安SIMの利用意向も尋ねている(関連記事:小学校高学年は約4割がケータイ所有、小学生の月額利用金額は平均1419円--MMD研究所)。

今週のIoTは、新ビジネス開拓プログラムや空港の安全管理実験

IoT関連の話題を3つ紹介する。ソフトバンクは、7月30日に発表した「SoftBank Innovation Program」の第1回の募集について説明会を開催した。革新的なソリューションや技術を世界の企業から募集し、商用化を検討・実現するプログラムで、会場となったソフトバンク本社には約100社の企業から担当者が来場した。

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テーマはIoT。説明会では、プログラムをアイデア大会にするつもりはなく、事業化のシーズを引き出しパートナーと共同で事業化することが目的であることを強調した(関連記事:アイデア大会ではなく事業展開を目指す--ソフトバンクが Innovation Programを説明)。

日本航空(JAL)、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)、東レの3社は、空港での地上支援業務担当者を対象に、IoTを活用した安全管理システムの共同実証実験を開始した。空港の事故防止の観点から必須となる、屋外作業者の体調管理への有効性を調べる。東レとNTT Comが恊働する「機能繊維素材“hitoe”を活用した作業者安全管理サービスの実用化に向けた取り組み」の一環だ(関連記事:IoTを活用した空港の安全管理システム、JAL、NTT Com、東レが実証実験)。

情報通信技術研究所(NICT)と富士ロジテックは、UWB(超広帯域無線)測位システムの物流倉庫における実証実験を共同で実施した。富士ロジテックの物流倉庫内にNICTが開発したUWB屋内測位システムを配置し、同倉庫内の全16台の作業ピッキングカートの動線可視化に成功した。これにより、ピッキング作業の大幅な効率改善が可能となる(関連記事:UWB屋内測位によるカート動線可視化でピッキング作業の大幅効率化 NICTが実証実験成果発表)。

LINEが位置サービス、テレ朝とKDDIが動画配信で提携

このほか、主なトピックを紹介する。LINEは、アプリをインストールしているユーザー間でお互いの居場所を共有できるリアルタイム位置情報共有サービス「LINE HERE」を8月19日に公開した。

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アプリ上で「シェアルーム」(グループ)を作成して共有したい相手にLINE、Facebook、SMSなどで招待URLを送信し、相手が承諾するとお互いの位置をリアルタイムで地図上で確認できる(関連記事:LINE、位置情報共有サービス「LINE HERE」を公開)。

テレビ朝日とKDDIは、スマートフォン向け動画配信事業で戦略的業務提携を結んだ。地上波の番組と連動したオリジナルコンテンツを、KDDIが保有するビッグデータを活用して、共同で制作していく。共同制作の第1弾は、AKB48グループメンバーが主演するエンターテインメントドラマで、KDDIが提供するスマートフォン向けの動画配信サービス「ビデオパス」で配信する。KDDIのビデオパスの「検索履歴」「視聴履歴」「属性履歴」などの統計データを分析した結果を参照して制作を進めた(関連記事:テレ朝とKDDIがスマホ向け動画配信で提携、ビッグデータを活用して共同制作)。

日本通信は、TOKAIホールディングス(TOKAI)と新しいモバイルソリューションの提供を前提とした業務提携に向けて、共同検討を開始する。両社は、日本通信が開発したコードレススマホや、業務用のIoTソリューションなどを販売するといった、具体的な連携の検討を開始し、新しいモバイルソリューションの提供につなげたい考えだ(報道発表資料:TOKAI ホールディングスとの業務提携に向けた共同検討の開始について )。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。