original image: Antti T. Nissinen(CC BY)
クラウドファンディング発ガジェット専門アンテナショップ、パロアルトに開店
2016.03.25
Updated by Kenji Nobukuni on March 25, 2016, 07:30 am JST
original image: Antti T. Nissinen(CC BY)
2016.03.25
Updated by Kenji Nobukuni on March 25, 2016, 07:30 am JST
KickstarterやIndiegogoなどのクラウドファンディングで資金調達をしているプロジェクトは、マーケティングでいうビジョナリーやアーリーアダプターを惹きつける。新しもの好きの人々が、出荷時期が半年先であっても予約注文してくれるので、スタートアップも既存企業の新規事業担当部門も、設計・製造を続けることができる。
製品が宅配されて初めて、新しもの好きの人は製品が期待通りか期待外れかに気づくのだが、その頃には多くの場合、別の新しいものに目が移っていたりする。
ところで、開発した製品がメインストリームに乗るためには、量販店や小売店が在庫を持って、店頭にサンプルを並べてくれなければならない。アパレルや家電製品などを小売店(リアル)で見て、気に入ったらネット通販で買ってしまう消費行動をショールーミングといい、小売にとって大きな問題となっているが、未だにネットだけでは安心して買い物ができないことの表れだ。
ハイテクのガジェットであってもそれは同じで、多くの場合大ヒット商品になるためにはYouTubeの映像やネットの評価だけでは不十分だ。小売店の店頭で平積みされている製品の山やPOPの文言が消費者を惹きつけ、販売量が増えてヒット商品となる。
しかしガジェットの在庫を小売店に持ってもらうことは非常に難しい。特に多くの人が買い物をする量販店には大手メーカーも含めて多くの企業が製品を持ち込むので、運良く並べてもらえるようになるとしても非常に時間がかかる。店頭のスタッフに十分な商品知識を持って接客してもらうのは至難の業だし、製品が雑に扱われてもメーカーとしてはなすすべがない。
こうした小売の状況を変えようと、元Nest(現在はGoogle傘下)のソフトウェア技術者、Vivhu Norby氏が、ガジェット中心の小売店ビジネスを始めた。カリフォルニア州パロアルトにあるB8taは2015年12月に開店。王様のアイデアやSHARPER IMAGEなどで売られていたような、ちょっと変わっていて、トンがった製品が、空間をぜいたくに使って並べられている。
ガジェットのメーカーは、B8taに月額料金を支払って、店内に陳列してもらう。B8taに在庫を持たせて店頭販売してもらうこともできるし、店員がメーカーのウェブサイトを紹介して、そこで注文するよう促してもらうこともできる。ウェブサイトであれば、予約注文も取ることができる。
製品の横にはタッチスクリーンが置いてあって、製品情報や映像、値段などを顧客に提示する。遠隔で書き直すことも当然できる。
店内の監視カメラが顧客の動線と商品への関心度合いをトラッキングしていて、メーカーにレポートが渡される。店員も顧客から聞き取った内容、とくにその製品を何に使うつもりなのかをレポートに加えるという。
場所はUniversity Ave.のアップル・ストアのすぐ近く。ハイテク企業の老舗やスタートアップのひしめく地域で、ハイテク好きで懐具合のいい消費者が多く住む場所だ。パロアルトで成功すれば、多店鋪展開する可能性もあるだろう。ネットのIndiegogoと、リアルのBESTBUYをブリッジする存在として成長するか注目される。
【参照情報】
・B8ta
・In Palo Alto, a Brick-and-Mortar Store for Test-Driving the Latest High-Tech Gadgets
・B8ta, the new gadget store that is a bet by a Silicon Valley company on brick-and-mortar shopping
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