ドローン

[2016年第15週]ドローンの産業活用で議論、ドコモが水田IoT、広がるAI活用

2016.04.12

Updated by Naohisa Iwamoto on 4月 12, 2016, 16:40 pm JST

新年度が本格的に始まった第15週、多方面のニュースがあった。産業用のドローン時代について議論したパネルディスカッションでは、ドローン時代に日本の強みを生かせるという指摘があった。IoTソリューションやAIを活用したソリューションでもニュースが相次いだ。

まず、4月7日に開催された新経済サミット2016におけるパネルディスカッション「産業用ドローン時代の幕開」の話題から。パネルディスカッションでは「ドローンと産業」という視点から議論が行われた。千葉大学特別教授・株式会社自律制御システム研究所代表取締役の野波健蔵氏は、「産業用ドローンに求められる信頼性、耐久性、安全性はホビー用とは比べ物にならない。これに対応できるものづくりができるのは日本の強み」(野波氏)と語る。千葉市の熊谷俊人市長は「ドローンをビジネスに載せるためには都市部における可能性を模索する必要がある。幕張新都心のドローン実験に適した立地特性を活かして取り組みたい」と都市部での活用の必要性を指摘する。

nest-drone-eyecatch

また、元Wired編集長で現在は3D Robotics CEOのクリス・アンダーソン氏は、「私が関心を持っているのはデータであり、ドローンに取り組むのは空にセンサーを置くためには必要だから」とドローンへの取り組みについて語った(関連記事:「ドローンは空のセンサー」クリス・アンダーソン氏が語るビジョン、日本に勝ち目はあるのか)。

IoT、AIの活用に新しい動き

データを分析のソリューションとして、IoTやAI(人工知能)を活用する話題もあった。NTTドコモは、ベジタリアが提供する水稲向け水管理支援システム「PaddyWatch」の機器をドコモが販売すると発表した。PaddyWatchにはドコモの通信モジュールが内蔵されていて、クラウドへ送信した情報を基に遠隔地からの水田の監視ができる。同時に、農業生産者向けにウォーターセルが提供する圃場の航空写真活用サービス「アグリノート」も、ドコモの法人向けのサービスラインアップ「ビジネスプラス」のメニューとして提供を始める(関連記事:スマホなどから水田を監視、農業IoT「PaddyWatch」などをドコモが提供へ)。

NECと産業技術総合研究所(以下産総研)は、産総研人工知能研究センター内に「産総研‐NEC 人工知能連携研究室」を6月1日に設立することに合意した。シミュレーションとAIが融合した技術を基本原理から産業応用まで一貫して開発することで、「未知の状況での意思決定」という新分野を確立することを目指す。

20160406-nec-aist-ai-research

「未知の状況」での意思決定のために、足りない情報をシミュレーションで補いつつ、AIの能力を最大限に引き出す「シミュレーションとAIの融合技術」の開発に、官民一体で取り組む(関連記事:「産総研-NEC 人工知能連携研究室」設立、シミュレーションとAIで未知の状況での意思決定目指す)。

AIの話題をもう1つ紹介する。ソフトバンクと、ソフトバンクが2015年9月に出資した米Cybereason Inc.は、AIを活用したサイバー攻撃対策プラットフォームの日本市場への提供を目的として、合弁会社「サイバーリーズン・ジャパン」を設立した。Cybereasonの「Cybereason」はクラウド型のデータ解析プラットフォームで、AIによる分析技術を使ってサイバー攻撃を探知し、侵入や攻撃を成立させない新しいアプローチを実現する(報道発表資料:ソフトバンクとCybereason社、AIを活用したサイバー攻撃対策プラットフォームを提供する合弁会社を設立)。

法人のコミュニケーション革新に新ソリューション

法人向けのソリューションの話題もあった。シスコシステムズは、2015年秋に発売した中堅・中小企業向けブランド「Cisco Start」について、新たな取り組みを発表した。

cisco-start-eyecatch

日本市場向けの機能拡充、クラウドサービスの追加としてWeb会議システムCisco WebExとCiscoクラウドWebセキュリティの提供、パートナー向け施策としてユーザーが最寄りの販売代理店に見積を依頼できる「Cisco SMBマーケットプレイス」の立ち上げなどが代表的な取り組みだ(関連記事:「テレワーク」想定してWebExとCWSを導入しやすく、シスコが中堅中小企業向け新戦略発表)。

NTT西日本は、内線機能やグループ着信機能など、PBXの基本機能をクラウドで提供する「ひかりクラウドPBX」を5月10日に提供開始する。資産を持たずに、拠点間の内線機能、グループ着信機能、転送機能といったPBX機能を利用できるほか、費用も月額利用料だけで済み導入しやすいことが特徴。固定電話端末だけでなく、専用アプリケーションを利用することでスマートフォンやパソコンからも内線通話が可能で、Wi-Fi環境をあわせて構築することで、オフィス内の電話環境の無線化が可能になる。BYODの推進にも役立つという(報道発表資料:「ひかりクラウドPBX」提供開始について)。

法人向けのタブレット市場の動向。IDC Japanは、2015年の国内法人向けタブレット市場の出荷台数実績とOS別の市場シェアを発表した。出荷台数実績は頭打ちの傾向を示したが、OS別のシェアではWindowsが続伸している。IDC Japanでは、Microsoft Officeなどのアプリケーションで作成されたデータの閲覧や簡単な編集などの用途によって、Windowsタブレットの出荷が伸びていると分析する(関連記事:Windowsが伸びiOSが減少、2015年の法人向けタブレット市場--IDC Japan)。

トヨタがコネクテッド・カー新会社、ソフトバンクと石油連盟が覚書

この週のその他のトピックを紹介する。海外発のニュースだが国内企業の話題として、トヨタ自動車が、コネクテド・カー関連の新会社トヨタ・コネクテド(Toyota Connected、本社テキサス州プラノ)を設立することを明らかにした。新会社では、マイクロソフトのクラウドサービス「Azure」をベースに、テレマティクスやデータ解析、ネットワークセキュリティなどに関連する技術やサービスの開発を行うという(関連記事:トヨタ、コネクテド・カー関連の新会社設立 - マイクロソフトも出資)。

ソフトバンクは、大規模災害が発生したときに継続的なサービスを提供できるようにするため、石油連盟と情報共有に関する覚書を締結したと発表した。政府を通じた災害時の石油の緊急供給要請があった際に、ソフトバンクの通信サービスを継続的に提供するために重要な施設に対して、石油元売り会社からの石油供給を円滑にすることが狙いだ(関連記事:ソフトバンク、災害時の継続的なサービス提供のため石油連盟と連携)。

コンシューマー向けの話題。「PC DEPOT」「PCデポスマートライフ店」などを展開するピーシーデポコーポレーションは、スマートフォン向けの月額会員制保守サービス「プレミアムスマートサービス」を提供する。初期設定からバックアップ、トラブル時の対応などまで幅広くスマートフォンの利用者をサポートするもの。4月下旬をメドに提供を開始する。料金はサポート台数により異なり、1台で月額1000円、3台までは月額2000円、5台までは月額3000円となる(関連記事:PC DEPOTがスマホのサポートサービスを提供、IoTソリューションも視野に)。

朝日新聞社は、新聞記事を読み上げて音声として「聞く」ことができるスマートフォン向けアプリ「アルキキ」の提供を開始したと発表した。App Storeで提供するiOS版と、Google Playストアで提供するAndroid版を用意し、いずれも無料で利用できる。アルキキでは、新聞記事の前文に相当する第一段落を音声合成技術によって音声化し、ファイルとして配信する。アプリでニュースの音声を再生することで満員電車の中や歩きながらといった状況でも、画面を見ることなく最新のニュースの内容を確認できる(関連記事:新聞を音声で「聞ける」スマホアプリ、朝日新聞社が提供)。

WirelessWire Weekly

おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)

登録はこちら

岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。

RELATED NEWS