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インド 食 カレー イメージ

19)絶対に失敗しないシリーズ(2)キーマカレー

2019.07.09

Updated by Toshimasa TANABE on July 9, 2019, 11:49 am UTC

絶対に失敗しないシリーズ、第2回は「キーマカレー」である。キーマとは挽き肉のことを意味する。普通は鶏挽き肉で作る。鶏挽き肉といえば、通常は胸肉を挽いたものである(チキンカレーで使うべきは鶏のどの部位か?)。

キーマカレーの一番のポイントは、パウダースパイスは3種類だけ、というシンプルなスパイス使いだろう。それだけに、トマトベースのカレーソースと鶏肉の相性の良さも分かるし、さっぱりとしたクセのない味わいなので、スパイスの役割も良く分かる。豆のカレー同様に、いろいろと応用が利くのもキーマカレーを覚えるメリットだ。そして、失敗することはまずない。


材料(約8食分)
・鶏挽き肉500g
・トマト2個
・玉ねぎ1個
・ニンニク30g
・ショウガ30g
・パウダースパイス
 パプリカ30cc
 ターメリック15cc
 カイエンペッパー5cc(辛いのが好きなら10ccに、苦手なら2.5ccに)
ガラムマサラ5cc
・塩10cc
・サラダオイル30cc(鍋の底面積に応じて多少の増減はOK)
・水600㏄
・トッピング(お好みで)
 ショウガの千切り
 生クリーム
 ミニトマトの縦割り
 ホウレンソウの千切り
 青ネギの小口切り
 パクチー(香菜)


1)材料を用意する
鶏肉は、胸肉を店頭で1回挽きにしてもらう。自分でフードプロセッサで挽き肉にしても良い。その場合、皮や余計な脂肪は取り除いた方が良い。もも肉でも良いが(多少濃厚な味わいになる)、これも皮と脂肪は丁寧に取り除こう。

トマトは粗みじんに、玉ねぎは細かめのみじん切り、ニンニクとショウガはなるべく細かいみじん切りにする。粒度はショウガのほうを少し粗めにする。フードプロセッサを使うと楽である。

パウダースパイスと塩は、先に計量してまとめて小皿などに揃えておくと、後で入れるときにスムースに進む(冒頭の写真の右端)。

2)カレーベースを作る
鍋にサラダオイルを熱して、まずはニンニクのみじん切りを弱火でじっくり加熱する。ニンニクがうっすらきつね色になってきたら、玉ねぎを入れて火を強める。ニンニクに玉ねぎをさっと馴染ませたら、ショウガを加えてさらに炒める。

玉ねぎが透き通ってきたら、トマトを加えて潰しながらペースト状になるまで炒める。

3)パウダースパイスで味を決める
全体がペースト状になってきたら、パウダースパイスと塩を全部入れて、全体に行き渡らせつつ良く炒めて、スパイスに火を入れる。全体的に滑らかなペースト状になるまでかき混ぜつつ加熱する。

慣れると、まだ水を入れないこの段階で味が決められるようになるが、最初のうちは、後述する水を加えた後に味を確認するということで問題はない。

4)鶏挽き肉をカレーベースに馴染ませる
ペースト状になったカレーベースに鶏挽き肉を投入し、挽き肉がダマにならないように全体を木べらなどでかき混ぜながら加熱する。カレーベースが鶏挽き肉と馴染んで全体が均一なそぼろ状態になってきたら、水を加える。水は、冷水だと、特に1回に全部入れてしまうと、鍋の中がいったん冷えてしまって再沸騰に時間がかかるので、給湯器の温度で良いのでお湯を2回か3回に分けて加えると良い。

そのまま強火でかきまぜながら15分くらい煮込む。あくまで強火がポイントだ。火力が弱いと、全体が十分に乳化せず油が分離したようになってしまう。透明感のある出汁を取りたい、などの場合と違って、ここではアクを気にする必要はない。アクが消えてきたころができ上がりの目安となる。

5)仕上げと塩気の確認
アクが無くなってきたら、仕上げのガラムマサラを振り入れて、最後に塩気を確認する。塩気がキツいと感じたら、水か牛乳を少しずつ入れて調整する。逆に薄味に過ぎると感じたら、塩を少しずつ足していく。

6)トッピングはお好みで
トッピングはお好みだし無くても良いくらいだが、ミニトマトを縦割りにして乗せるとトマトベースのカレーに良く合うし、赤い色がアクセントにもなる。緑が欲しい場合は、ホウレンソウの千切り、青ネギの小口切り、パクチー(香菜)などを過剰にならない程度に乗せる。

ショウガの千切りは、カレーベースにも入っているショウガの爽やかな香りをより強調してくれる。生クリームを少し回しかけても良いだろう。マイルドなコクが出る。

こうして作ったキーマカレーは、シンプルなスパイス使いだけに、鶏肉とトマトの味わいとショウガの爽やかさが良く分かるものになっているだろう。サラッとしていてさっぱり食べられるこのカレーは、インドカレーがカレールーを使ういわゆる「カレーライス」とは全く異なるものだ、ということをリアルに教えてくれる存在だと思う。

※スパイスの量は、あくまで目安である。これを基本にしつつ、辛さや塩気なども含めて、自分の好みの味を探していこう。


キーマカレーは、応用範囲の広いカレーだ。トマトベース、サグベースと並ぶカレーベースの一つと言っても過言ではないだろう。例えば、キーマカレーにひと口大に切った鶏胸肉を追加したダブルチキンのカレー(ガラムマサラを多めにしてスパイス感強めで)は、ちょっと贅沢な感じがするカレーだ。

普段よく作るのは、キーマカレーに野菜を何か1種類追加したカレーだ。キーマカレーに追加する代表的な野菜にナスがある。皮は剥かずに食べやすい大きさに切ったナスを炒めるか素揚げにする。8割くらい火が通ったら、キーマカレーに入れて数分煮込んで馴染ませるだけである。

炒める場合は、まずサラダ油にアジョワンシードを熱して香りを出してからナスを炒めると良い。ナスとアジョワンは、ジャガイモとクミン同様(シンプルな「アルジラ」に見る基本中の基本)、インドカレーの食材とスパイスの組み合わせの中でも鉄板の組み合わせの一つなのである。こうすることで、カレー全体にはアジョワンは行き渡らないが、ナスの回りにはアジョワンが感じられる、という状態にすることができる。

オクラもおススメだ。1センチ幅くらいに切ったオクラをキーマカレーに投入して、オクラに火が入ったらでき上がり。色もキレイだし、何より美味しい。ナスとオクラくらいなら、両方入れてもカレーのテーマがよく分からなくなることもないだろう。

ジャガイモもキーマカレーに良く合う食材だ。最初から入れる前提であるなら、前述の手順の最初の段階でニンニクを炒める前に、サラダ油にクミンシードの香りを出しておく。ジャガイモは、皮を剥いて食べやすい大きさに切っておき、鶏挽き肉とカレーベースを馴染ませるあたりで投入する。ジャガイモに火が通るまで煮込めば完成だ。

ジャガイモを後で入れる場合は、キーマカレーが煮詰まってしまったりするのは避けたいので、あらかじめ電子レンジなどでジャガイモを加熱してから投入するのが良いだろう。味の沁み込み具合は少なくなるが、ほくほくとしたイモの食感が楽しめる。

豆のカレーの時(絶対に失敗しないシリーズ(1)ひよこ豆のカレー)にも触れた複数の豆が入ったサラダビーンズも悪くない。単に投入するだけで、暖まればそれで良い。挽き肉と豆の食感の違いを楽しめるし、豆の味もよくわかる。

最後に一番のお勧めを紹介しておこう。それは「蕪」だ(ひと味違ったカレーに「蕪」はいかが?)。皮を剥いて縦八等分くらいのくし型に切った蕪をキーマカレーに投入してしばらく煮込むと、蕪にはカレーの風味が、カレーには蕪の味わいが移って、とても美味しいカレーになる。先に紹介したナスやオクラなどの野菜の場合は、キーマカレーは依然としてキーマカレーという感じであるが、蕪の場合、カレーの表情がガラッと変わる。蕪と鶏挽き肉のカレーになるのだ。和食でいうと蕪の鶏そぼろ餡のような趣だ。蕪の葉を刻んで散らすと、緑がキレイだしさらに蕪の味わいが感じられるようになる。カスリメティのパウダーをちょっと振り入れてるとさらに風味が良くなる。

キーマカレーは冷凍保存が可能だ。1食分ずつ小分けにして冷凍保存しておくととても便利である。もちろんスパイス感は劣化するので、解凍して温めるときにガラムマサラを追加で投入する。冷凍しておいたキーマカレーをベースとして、別の食材と組み合わせたカレーにすると良いだろう。


※本連載は、横浜市都筑区のインド家庭料理「ラニ」のオーナーシェフであるメヘラ・ハリオム氏と、同氏を師と仰ぐ田邊(富士山麓のcafe TRAILでカレーを提供中)の共著という形で、インドカレーのセオリーについて考え、それを分かりやすく提示する試みです。もちろん、いくつか代表的なカレーのレシピも掲載していきますが、いわゆるレシピそのものを紹介すること自体は目的ではありません。このレシピはなぜこうなっているのかを理解することで、レシピを見なくても、自分にとって美味しいインドカレーが作れるようになることを目指しています。また、各種スパイスについての解説は、食材やスパイス同士の組み合わせや相性を中心とし、スパイスの歴史や特性などについては、他に優れた本がたくさんあるので、それらにお任せするというスタンスです。

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田邊 俊雅(たなべ・としまさ)

北海道札幌市出身。システムエンジニア、IT分野の専門雑誌編集、Webメディア編集・運営、読者コミュニティの運営などを経験後、2006年にWebを主な事業ドメインとする「有限会社ハイブリッドメディア・ラボ」を設立。2014年、新規事業として富士山麓に「cafe TRAIL」を開業。師と仰ぐインド人シェフのアドバイスを受けながら、日本の食材を生かしたインドカレーを研究中。