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イスラエル 女性 兵士 イメージ

最前線の女性たち(Women on the Front Lines)

2019.10.07

Updated by Hitoshi Arai on October 7, 2019, 02:44 am UTC

デビー・ジメルマン(Debbie Zimmelman)という女性の写真家に出会った。

「Women on the Front Lines」というタイトルは、彼女が今年発表した本の名前であり、副題が、Inside the Combat Units of the Israeli Armyとなっている。この副題からわかるように、この本は戦闘部隊に所属するイスラエルの女性兵士の写真集である。

デビー自身はアメリカで生まれ、22歳のときにイスラエルへ移住した。この特集「イスラエルイノベーション」でも過去に言及しているが、イスラエルでは男女ともに18歳になると兵役がある。デビーは22歳でイスラエルへ移住したので、自身は兵役を経験していないが、6年前に友人の娘が兵役でイスラエル国防軍(Israel Defence Force:IDF)に従軍したのをきっかけに、女性兵士の写真を撮るプロジェクトを始めたという。

兵役といっても女性の場合は、医療部隊や教育部隊に所属するのが通常である。ところが、希望すれば女性でも戦闘部隊に参加することができるそうで、実際、彼女の友人の娘は希望して戦闘部隊に入った。これがデビーにとって驚きとなり、戦闘部隊に所属する現場の女性兵士の写真を撮るプロジェクトを始めたきっかけとなった。

日本人にとっては、幸いにして兵役そのものが身近なものではなく、「できれば避けたいもの」という認識があるだろう。仮に義務だったとしても、もし選択が可能であるならば、肉体的にも精神的にも厳しい状況下に置かれる戦闘部隊よりは、私であればデスクワークに近い仕事を希望することは間違いない。

しかし、この写真集に登場する若い女性たちは、「希望して」戦闘部隊に参加するのである。デビーはカメラを通して彼女達が何を考え、何を求めて戦闘部隊で活躍しているのかを伝えようとしている。

本の中には、装甲車を運転する兵士や有名なアイアンドーム(防空システム)の操作を担当する女性、何キロも行軍する兵士たちなど様々な場面があるが、最も印象深かったのは、Field Intelligenceという部隊で活躍する女性兵士の写真である。戦場での情報収集は、あらゆる作戦の鍵となる。彼女らは、その現場での情報収集の役割を担うのである。

その訓練は、イスラエル南部の砂漠にある岩にカモフラージュされたテントで行われる。外からみれば岩と見分けのつかない小さなテントの中で、数名の兵士が72時間に渡って滞在し、情報収集のミッションを遂行する。周囲が暗くなる夜間は外に出られるようだが、明るい日中はテントから出ることは許されないという。トイレもその小さなテントの中で、特殊なバッグで済ませる。砂漠の中なので、日中は想像し難いほど暑い。そんな過酷な任務を18歳から20歳の女性が遂行しているのだ。

本に書かれた兵士達のコメントによれば、彼女らはその狭い場所で、人生の様々なことを語り合うそうだ。家族同様の、むしろ家族よりも緊密な関係を築き、そのコミュニケーションが彼女らを成長(empower)させるのである。義務としてやらされるのではなく、自ら成長を求めて挑戦する女性達の写真には、強い意思を感じることができる。

彼女の本は日本のアマゾンではまだ出てこないが、アメリカのアマゾンでは検索可能である(Women on the Front Lines: Inside the Combat Units of the Israeli Army)。以下の写真は、手もとにあるこの本の表紙を撮ったものである。

また、デビーのホームページでは、その一部の写真をギャラリーで見ることができる。是非、ご覧いただきたい(Women on the Front Lines (Images))。

 

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新井 均(あらい・ひとし)

NTT武蔵野電気通信研究所にて液晶デバイス関連の研究開発業務に従事後、外資系メーカー、新規参入通信事業者のマネジメントを歴任し、2007年ネクシム・コミュニケーションズ株式会社代表取締役に就任。2014年にネクシムの株式譲渡後、海外(主にイスラエル)企業の日本市場進出を支援するコンサル業務を開始。MITスローンスクール卒業。日本イスラエル親善協会ビジネス交流委員。E-mail: hitoshi.arai@alum.mit.edu