フランスのオランド大統領は閣議中に政治家が携帯電話を利用することを禁止したとの報道があった。これは諸外国の諜報機関から盗聴されたりすることを防止するためではなく、閣議に集中してもらうためだ。多くの政治家が閣議中に携帯電話でショートメッセージ(SMS)などを行っており、携帯電話に気を取られているようだ。
政府の広報担当も以下のように述べている。
"To focus on what we must do, the president has decided that there will be no more mobile phones in cabinet" "Each of us will now have to talk and listen to what is said and will no longer be able to tap away at this magnificent tool,"
(私たちがやるべきことに集中するために、大統領は閣議中の携帯電話使用禁止を決定した。我々はもっと真剣に話し合い、相手の言うことをよく聞くべきで、そうすれば携帯電話をいじることはできないはずだ)
まるで中学生か高校生に向かって言うようなセリフである。しかし、我々の周囲を見ても、会議中や授業中でも、人の話を聞きながら携帯電話やスマートフォンをいじっている人がたくさんいる。大学の授業中では多くの学生がスマートフォンを見ている。話している方から見ると「本当に聞いているのだろうか?」と疑わしく思ってしまう。
フランスの内閣閣議でも同じなのだろう。オランド大統領からしてみれば「携帯電話なんていじってないで、話聞けよ!ちゃんと聞いてるの?」という気持ちなのだろう。自分が会議や授業で話している時に、目の前で携帯電話をいじっている人を見たことがある人はみんな思っているだろう。
これは遠いフランスの閣議だけでの問題ではない。我々自身も「人の振り見て我が振り直せ」である。
【参照情報】
・France's Hollande bans mobile phones from cabinet meetings
・French president bans mobile phones from cabinet meetings
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登録はこちら2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。