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ドローンによる自動配送実現に重要な制御通信の改ざん・盗聴防止 NICTらが実証実験に成功

2016.04.13

Updated by Asako Itagaki on April 13, 2016, 08:00 am JST

NICTは株式会社プロドローン(以下プロドローン)と共同で、ドローンを使って学校図書室の本を別の学校へ配送する図書配送システムの実証実験に成功した。

国家戦略特区である秋田県仙北市で4月11日に実施された実験では、約1kgの図書をドローンに積載し、高度約50m、距離約1.2kmの自動航行を行った(離着陸についてはオペレーターが手動操作で実施)。ドローン・地上局・配送管理端末・データサーバーで構成されるシステムの通信には共通鍵暗号やワンタイムパッド暗号などを適用し、ドローンの乗っ取りや情報漏えいを防御した環境での配送サービス実施が可能であることを実証した。

▼実験の全体図(NICT発表資料を元に編集部で作成)
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▼実験に使用したドローンと飛行コース
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ドローンによる産業応用の実用化にあたっては、ドローンと地上局の制御通信における安全性の確立が課題となっている。特に、個人情報が必要となる宅配サービスや重要施設の監視、警備や国家安全保障分野などでは、通信の乗っ取りや情報漏えいを防ぐ情報セキュリティ対策が欠かせない。今回の実証実験では、3つのセキュリティ機能がシステムに組み込まれている

(1) ドローンと地上局の間の通信の秘匿化

ドローンを飛ばす前に操縦者が物理乱数生成器によって生成した真性乱数の対を地上局コントローラーとドローンに手渡しで供給することにより、パケットごとに異なる真性乱数を用いた暗号化(ワンタイムパッド暗号化)を行う。
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(2) 制御信号の改ざん防止

認証のたびに異なる真性乱数を用いてユーザー認証やメッセージ認証を行うヴェグマン・カーター認証方式をドローン、地上局(コントローラー)、物理乱数生成器に組み込むことにより、ニセの暗号鍵によるなりすましやデータ改ざんを検知する。
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(3) 地上のサービス端末やデータセンター間の通信の暗号化

図書室端末、データセンター、配送管理端末の間の通信は、標準的な共通鍵暗号にさらに真性乱数を組み合わせることでセキュリティレベルを向上させた通信を実現した。薬の配送など、重要個人情報を扱う分野でのドローン活用を想定している。

今後もNICTとプロドローンは仙北市での実証実験に継続して参画し、運用技術やノウハウを蓄積する。図書配送システムの実用化に向けては離着陸操作の自動化を実現し、完全自動運転での運用を目指す。また、複数拠点を結ぶネットワークの広域化にも取り組む。

将来は薬の配送など個人情報の保護が求められる輸送・輸送用途、農業分野、災害対応、更には重要インフラ施設管理などの高機密用途への活用も目指す。

【報道発表資料】
秋田県仙北市において小型無人航空機ドローンによる図書の自動配送実験に成功

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。