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計測制御のプラットフォームとエコシステムが5G、IoT、自動運転、AIを支える

2017.10.26

Updated by Naohisa Iwamoto on 10月 26, 2017, 06:25 am JST

日本ナショナルインスツルメンツ(日本NI)は2017年10月25日、記者発表会を開催して同社を取り巻く技術動向と対応について解説した。同日に発表した、技術動向などを解説する「NI Trend Watch 2018」のトレンドに沿った解説だ。

ナショナルインスツルメンツ(NI)は、テスト、計測、制御機器の分野でハードウエアとソフトウエアを提供する米国に本社を置く企業。エンジニアや科学者といった技術者の生産性を高めるとともに、技術革新と発見を加速させるツールとして製品を提供している。モジュール式のハードウエアと、カスタマイズが容易なソフトウエアによるプラットフォームと、それらをオープンに提供するエコシステムによって技術者にソリューションを提供する。

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記者発表会では、5つの分野におけるNIのトレンドを紹介した。

1つが「5G」。2020年の商用化を目指す5Gに対してNIは、2010年ごろの基礎研究の時期からソフトウエア無線のプラットフォームを提供するなどして技術協力をしてきた。2017年の現時点は、「作成中の標準規格を見越して、半導体デバイスの開発や、デバイス製造ラインの開発を行っているタイミング」(日本ナショナルインスツルメンツ テクニカルマーケティングエンジニアの早田直樹氏)だという。

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5Gでは、Massive MIMOやミリ波伝送、周波数利用効率の向上、高度なネットワークアーキテクチャの導入などがあり複雑化が進む。そうした中で、具体的な製品開発に取り組みには高度なテスト環境が求められるという。NIのテストシステムは、各種のインタフェースとプログラム可能なFPGA、汎用的なプロセッサーを組み合わせたアーキテクチャを採用し、マイクロ秒単位の処理時間でほぼリアルタイムの測定やエミュレーションが可能になる。こうした性能を備えたテスト機器を低コストで提供することで、5Gの成熟に貢献していくという。

実際の「半導体製造」でも、マルチコア化やヘテロジニアスコンピューティングのアーキテクチャの採用、広帯域のI/Oの必要性など課題が山積しているという。そうした中で、3次元のICの開発によるトランジスタ密度の向上が図られており、NIのプラットフォームを利用することで高度なテストを高速に行うことができ、「ムーアの法則を超えるための貢献をしている」(早田氏)と説明があった。

産業分野でのIoT(IIoT)における、「適切なモノの管理」にも、NIの技術が貢献している。IIoTでは、システム数の急増や常時の更新必要性、大量データへの対応など、多くの課題がある。例えば、NIのテストシステムでは、計測器などのエッジ側に演算機能を備えるため、分散計測によるシステム管理が可能になる。大量の情報を分散処理することで、モノの管理を効率的に行えるようになる。

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急速に普及する「電気自動車(EV)」の分野でも、テスト環境が重要な位置を占める。「自動車を制御するECUのテストには、EVのモーターやバッテリーの動作を模擬したシミュレーションが必要。NIでは、HIL(hardware-in-the-loop)と呼ぶリアルタイムシミュレーションテストを実現するテストシステムを提供し、テスト時間の削減に貢献している」(同社 シニアテクニカルマーケティングマネージャーの岡田一成氏)。実際に、SUBARUは同社のSUBARU XVのECU開発にNIのHILシミュレーターを使うことで、テスト時間を見積の20分の1に短縮できたと説明があった。

大きなトピックとなっている「機械学習」のイノベーションにもNIは貢献しているという。機械学習の中でも、大量のデータを使って人工知能が自動的に学習する深層学習(ディープラーニング)は、「データありき」(岡田氏)の技術だからだ。「どんなに優秀なデータサイエンティストを雇っても、データがなければ役に立たない。機械学習で何かを得ようとするならば、まず計測から始めましょう」と指摘する。

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NIのテストシステムは、計測器で処理ができるため、エッジデバイスによる機械学習を実現したリアルタイム性を提供できる。一方で、オープンなエコシステムにより、他社製の機械学習やディープラーニングのツールと連携することも可能だ。「機械学習に興味があるという企業でも、そもそもの計測が行われていないケースが多い。機械学習の最初のステップは計測にあることを認識してほしい」(岡田氏)と、NIの得意分野が様々な技術のトレンドの課題解決に役立つことをアピールした。

【報道発表資料】
NIが「Trend Watch 2018」を発表、より速く未来を前進させる技術動向が鮮明に

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。